ナンバカ
□禁断の恋をアナタと
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今日から13舎に配属となった新人女看守の巫兎は、この13舎の主任看守である一に案内され、11房へと向かっていた。
「今日からアンタには11房の看守をしてもらうが、今のところ11房には一人しか囚人はいないからな、新人でも大丈夫だろう」
「え!?入ったばかりなのに私一人で11房の監視をするんですか!?」
「ああ、そうだ」
なんとも簡単に言っているが、新人看守一人にいきなり任せるなど無理がある。
巫兎は直ぐに無理ですと拒否するが、そんな言葉など却下されてしまった。
「看守になったんだ、これくらい一人でやってみせろ。じゃねェと、俺が面倒だからな」
一はただ、新人看守のおもりをするのが面倒な為、どうやら11房の看守に巫兎をあてようとしているようだ。
一体11房の囚人とはどんな人なのだろうかと不安を感じていると、どうやら11房についたらしい。
「ここが11房だ」
そう一が言ったとたん、13舎の警報が鳴り出す。
巫兎は一体何事かと驚き一を見ると、何故か一は血管を浮き上がらせイラついているようだ。
「アイツら、また脱獄しやがったな……!!」
「アイツら……?」
脱獄したというのは普通に考えて囚人だろうが、囚人が脱獄したというのに一は慌てる様子もなく、ただ面倒そうに大きな溜め息をつくとそのまま行ってしまおうとする。
「あの!私はどうしたら」
「あー……適当に頼むわ」
「え?」
それだけ言い残すと一は行ってしまい、一人取り残された巫兎はどうしたものかと考えてしまう。
11房の鍵はすでに一から預かっているものの、まだ巫兎は新人看守、それに女だ。
迂闊に扉を開けて囚人が脱獄したなんてことになれば、配属早々クビにもなりかねない。
だからといってこのまま立っているだけというわけにもいかず、覚悟を決め扉の鍵を開けると中へと入る。
だが、そこにいるはずの囚人の姿がなく、もしかして脱獄なんじゃと慌てそうになったその時、壁にその姿はあった。