ナンバカ
□事件は、慌ただしくも幕を閉じる
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ここ、南波刑務所の娯楽室では、一時間という短い自由時間で皆が集まり遊んでいた。
今日娯楽室にいるメンバーは、娯楽室を作ることを提案した13舎13房のウノ、5舎8房のチィーとリャン、そして、そんな3人を監視するのは、13舎13房の看守である巫兎だ。
「今日は2人か、ウパはどうしたんだ?」
「ウパは今日、猿門さんとの手合わせがあるので来ないそうだ」
「てかさ、そっちも今日は一人なわけ?」
「ああ、俺以外皆ゲーセンに行くんだとさ」
そんな3人の会話をソファで座りながら眺めていると、たまには巫兎も遊ばないかとウノに誘われたが、看守として3人を見張らなければいけない立場のため、巫兎は誘いを断った。
娯楽室にはダーツやビリヤードといったものがあり、正直遊んでみたい気持ちはあったものの、もし遊んでいたことを13舎の主任である一に知られれば後が怖い。
「んじゃ、今日は俺も巫兎ちゃんと休ませてもらおっかな」
「貴様はいつもサボっているだろう」
「まーね!ま、つーことだから二人でたまには遊んだら?」
二人だけだと遊ぶ物も限られてしまうが、折角の自由時間に娯楽室に来てなにもしないのも勿体無いと思った二人は、二人でもできるビリヤードで遊び始める。
そしてウノとリャンがビリヤードで遊んでいる間、巫兎はただその姿を眺めていると、不意に横から声をかけられ視線を向ける。
「巫兎ちゃんってさ、いっつも見てるだけだけど暇じゃないの?」
すっかり存在を忘れてしまっていたが、今日はチィーもいることを出す。
ソファはまぁまぁ大きくはあるのだが、何だかチィーとの距離が違い。
「暇かって聞かれたら暇よ。でも、私は看守だから、暇だからって仕事をしないわけにはいかないわ」
「真面目だね〜」
真面目と言われれば真面目なのかもしれないが、13舎の主任はあの双六 一だ。
真面目でその上何でもこなしてしまう、そんな上司の元にいれば真面目だって移ってしまう。