ナンバカ
□紡ぐ言葉は幸せ笑顔
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今日はロックの鍛練に付き合い5舎に来ていた巫兎だったが、見学のはずが大和に無理矢理付き合わせれてしまっていた。
ついた早々グランド100周など、普通の男にだってできなそうなことが女の巫兎にできるはずもなく、巫兎は5周もしないうちに地面に倒れてしまった。
息をきらしながら視線だけを向けると、大和とロックは今もまだ走り続けている。
今でもう二人は20周もしており、それでも二人平気な顔をして走り続けている。
そんな二人とは対照的に、巫兎はもう走ることはできず、呼吸を落ち着かせてからベンチへと座り、二人が走る姿を眺めていた。
「凄いなぁ、ロックくん」
皆大和の鍛練には音を上げるというのに、ロックは嫌がりつつも鍛練をこなしている。
そんな姿はかっこよく見え、気づくとロックを目で追ってしまっていた。
「アイツ、根性はあるからな」
「ッ……!」
突然聞こえた声に視線を向けると、いつの間にか来ていた5舎主任、悟空 猿門の姿がそこにはあった。
猿門が来たことに気づかない自分は、どれだけロックしか見えていなかったのだろうかと恥ずかしく感じ頬が熱くなる。
「おい、顔が赤いみてぇだが大丈夫なのか?」
「は、はい!大丈夫です!!」
大袈裟なくらいに慌てて胸の前で手を振りながら言うと猿門は、ならいいんだがと言い、再び視線をロックへと戻し口を開く。
「様子を見に来たんだが、いつも通り真面目に鍛練してるみてぇだな。だが、今日はお前まで一緒なんて珍しいじゃねぇか」
「まぁ、私は見学だけのはずだったんですけど……」
「大和のことだ、どうせ無理矢理付き合わされたんだろ」
猿門の言う通りで苦笑いを浮かべると、女のお前にはキツかったんじゃねぇかと、猿門が巫兎を心配してくれる。
普段は厳しい人のように見えるため、まさか気にかけてくれるとは思わず、巫兎は内心驚いてしまう。