ナンバカ

□イタズラ開始の合言葉
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ここ、南波刑務所13舎の娯楽室では、今日も各舎の囚人達が集まっていた。

そして、そんな彼等の監視役としていつも同行している各舎の主任看守部長なのだが、今日はその姿がない。

娯楽室にいるのは囚人達と、13舎看守である巫兎だけだ。

それというのも、今日は各舎の幹部が本部に呼ばれているためなのだが、それにしても何故、副主任でもない巫兎だけなのかというと、13舎副主任である五代 大和はかなりの方向音痴であり、まかせられないということらしい。

だからといって、女一人に何故任せたのかだが、幹部全員、巫兎がいれば問題ないと安心しているからだ。

そんな幹部達の信頼を得ている巫兎なのだが、囚人達が何かしでかしたら止められるような力は持ち合わせていない。

なら何故かという疑問だが、それは、囚人達皆、巫兎が大好きであり、そんな巫兎からわざわざ脱獄して離れようとなどするはずがないからだ。

だが今日は少し様子が違うらしく、現在娯楽室では囚人達が巫兎へと視線を向けていた。



「Trick or Treat!」



突然囚人達が声を合わせて言った言葉に、巫兎は戸惑ってしまう。

ニヤニヤとしながら向けられる視線に、一体どうしたのと巫兎は皆に訪ねる。



「今日は10月31日だからな!」

「Halloweenの日なんでしょ!?」



13舎囚人のウノとニコの言葉で巫兎は、今日がHalloweenだということに気づくが、キラキラと期待した瞳を向けるのはニコだけであり、他の囚人達の瞳は何やら怪しい光を宿している。

Trick or Treatと言った皆が何を求めているのかはわかったが、Halloweenなんて行事をすっかり忘れていた巫兎がお菓子など持っているはずもなく、皆にお菓子は持っていないと伝えた。

そもそもHalloweenとはいえ、囚人にお菓子を許可なく与えることはできないのだから、持っていたとしても答えは変わらない。



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