ナンバカ
□涙はハニー味
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ここ、3舎6房には、囚人番号82番のハニー、囚人番号3番のトロワ、そして、唯一の女囚人である巫兎が収容されていた。
二人は女性に紳士的な対応をするのだが、何故かハニーは巫兎にだけ、男に対してと同じ扱いをする。
「ねぇ、ハニー」
「……」
「ハニーくーん?ハニーさーん?ハニーちゃーん?」
「あー、うっせぇッ!!」
話しかければいつもこの反応で、最近では巫兎を鬱陶しがっているように見える。
そんなハニーに巫兎は頬を膨らますが、お前がそんなことやっても可愛くねぇんだよと言われてしまう。
「えーん、トロワー、ハニーが虐めるよー」
「よしよし。駄目だよハニーくん、女性には優しくしないと」
トロワは誰にでも優しくて、巫兎が泣きつくといつも頭を名で慰めてくれる。
「そうだそうだ!優しくしろー」
「お前みたいなヤツは女性とはいわねーんだよ」
そう言うと、ハニーは巫兎の方を見ようともせず背を向けてしまう。
これもいつものことなのだが、巫兎はこんなふざけた物言いをしていても、内心はもっとハニーと近づきたいと思っている。
「ごめんね、ハニーくんは女性には優しいはずなんだけど」
「ううん、私にはトロワがいるから平気だもーん!」
そう言いながら抱きつくと、トロワはイケメンオーラを撒き散らしながら、今日の下着(上)の色は何色ですかと巫兎に尋ねる。
「それはトロワにも秘密だよ〜」
そこは乙女、下着の色はいくら巫兎でも教えたりはしない。
「こんなヤツの下着の色なんて聞いたところでどうすんだよ」
「女性が目の前にいたら下着の色を聞く、当然のことじゃないかな」
「まぁな、だが、そいつを女性としてみるのはどうなんだ?」
「ハニーくん、目、悪くなったの?」
巫兎は心の中で、一体なんの会話なんだとツッコミをいれたが、それはそっと心の中に留めておいた。
一見巫兎はふざけているように見えるが、真面目な雰囲気が苦手なだけであり、実際は真面目ちゃんだ。
だが、その事に気づいているものは誰もおらず、巫兎はこういうヤツなんだという認識をされている。