ナンバカ
□色のついた世界
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1日に何回も脱獄をする13舎13房は、何故か最近一度も脱獄をしていない。
そして、それは13舎の看守にとっては平和な日々であり、仕事も捗るというものだ。
最初は、何か企んでいるのではと看守達は警戒していたのだが、脱獄をするといった様子もないことから、看守達は職務に専念していた。
だが、ここ13房の中でどんな会話がされているかなど、看守達は知るよしもないだろう。
「どうやら看守は仕事に集中し始めたみたいだな」
13房の囚人であるウノが口を開くと、残りの囚人3名はニヤリと笑みを浮かべる。
だがただ一人、13房の女囚人である巫兎だけは首を傾げていた。
「何で皆最近脱獄しないの?」
疑問に思っていたことを口にすると、4人の視線が巫兎へと向けらた。
「それはだな」
巫兎の質問に13房囚人の一人ジューゴが声を発すると、ジューゴの手が巫兎へと伸ばされ頬に触れる。
添えられた手は頬を撫でるように滑らされ、くすぐったいような感覚に巫兎は身動ぐ。
「これから俺達でいいことをするためだ」
「ッ……!?」
口角を上げ笑みを浮かべるジューゴに、巫兎の脳裏はその言葉の意味を考え頬が染まる。
巫兎以外は皆男という空間であり、皆がそういう気持ちになるのは可笑しくはないことだ。
それも皆は十代であり、そういったことにも興味があるに違いない。
「駄目だよ、そんなこと……」
「わりい、巫兎。でも俺、もう我慢できそうにねぇんだよ」
巫兎の瞳を真っ直ぐに見つめるジューゴの瞳は真剣で、そんなジューゴの虹色に輝く瞳を見ていると、巫兎は流されてしまいそうになる。
「巫兎、いいだろ?俺達もしたいんだ!!」
「ぜってぇ楽しいからよ!」
「うんうん!一回経験したら癖になっちゃうよ!」
ウノ、ロック、ニコの3人も、巫兎に詰め寄る勢いでとんでもないことを口にする。
ニコに関しては、もう経験済みといった発言であり、皆の口から出される衝撃的な言葉の数々に巫兎の頭はフリーズ仕掛けてしまう。
そんな巫兎の心情など知るはずもない4人は、お願いといいながら必死に頼み込む。
「わ、わかった……」
あまりに真剣な4人に頭の中はすでに一杯で、何も考えられなくなった巫兎はついに頷いてしまった。
巫兎の了承に4人は喜んでいるが、巫兎はなんで了承してしまったんだろうと後悔が押し寄せていた。