ナンバカ

□怪談で、距離を縮めましょうか
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13舎13房囚人、囚人番号11番のウノは、同じ13房囚人の、囚人番号211番の巫兎の彼氏だ。

だが、ウノには重大な悩みがあった。

それは、巫兎との距離がなかなか近づかないということだ。

付き合って一月経つ二人だが、キスもしたことがなければ抱き締めたこともなく、手を繋いだことさえない。

何度かウノはチャレンジしたのだが、手を繋ごうとすれば交わされ、抱き締めようとすればまた交わされてしまう。

そんな毎日に耐えられるはずもなく、もう少し恋人らしいこともしたいと思い始めていた。



「抱き締めたい」

「無理」

「ぐはッ!!」



だからといってどうすることもできず、直接本人に伝えるが、バッサリ切り捨てられてしまった。

吐血して倒れるウノに、13房の囚人達が叫びを上げるが、巫兎は全く気にしていない。



「あれ?これケチャップだ」



ウノの口から吐き出されたモノは血ではなくケチャップだったらしく、気づいたニコが言うと、倒れていたウノは起き上がり悔しそうに声を上げる。



「くっそー!これでもダメか」



どうやらウノの考えでは、吐血したウノを心配し、巫兎が抱き起こしてくれるという展開になるはずだったようだ。

だが、そんな作戦に引っ掛かるような巫兎ではない。

流石ウノの彼女というべきなのだろうが、引っ掛かってほしかったウノにとっては残念でしかないようだ。



「よし!今度こそ巫兎に抱きつくぞ!!」



張り切って考えるウノから少し離れた場所では、他の囚人3人がウノを見つめていた。



「ウノの奴よくやるよな」

「まぁ、俺達から見ても、巫兎はウノに冷たい気がするからな」

「そうだよね。でもなんでだろう?」



ウノと巫兎が付き合うことになったのは、最初は、ウノからの猛烈アピールに始まり、その後のウノからの告白だった。

皆、絶対断られるだろうと笑っていたが、なんと巫兎はあっさり受け入れたのだ。

だが、付き合っても何一つ変わらない二人に、周りも本当に付き合ってるのかと疑いたくなるほどだった。



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