ナンバカ
□恋も場所も迷い中
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方向音痴、それは、周りに迷惑をかけること間違いないだろう。
なぜなら、ここナンバカ刑務所には、方向音痴の度を越した看守が一人いるからだ。
「ただいま帰還したであります!!」
「うっせーぞ大和!!13房の奴等を捕まえんのに、何でてめぇは毎度毎度迷ってやがる!!」
今日もいつものことながら、ここ13舎では13房の囚人4名が脱獄をしていた。
13舎看守は、巫兎、七夕 星太郎、主任である双六 一、副主任の五代 大和の4名であり、今日もこの4名で、脱獄した13房の囚人達を捕まえようと、モニタールームからの星太郎の指示で皆が動く中、またも大和が迷ってしまったのだ。
大和はかなりの方向音痴であり、右と言っても左に走っていくような人物のため、迷子になるのも当然だ。
そして、ようやく大和が戻ってきた頃には、すでにあれから数時間と過ぎており、大声で騒がしく帰ってきた大和はハジメから説教を受けるも、全く気にしていない様子で笑っている。
「てめぇ、大和!!わかってんのか!?くッ……また胃が」
「主任、胃薬です」
「すまねぇな、星太郎」
囚人のみならず、看守にまで悩まされるハジメのストレスは半端ないようで、最近では毎日のように胃薬を飲んでいる姿を目にする。
何度説教を受けようが、大和の煩さと方向音痴は一向に直る気配はないため、ハジメの苦労はまだまだ続きそうだ。
「大和、お前は巫兎を見習っとけ」
「巫兎くんをでありますか?」
大和の視線が巫兎へと向けられるが、巫兎もテキパキと雑務をこなしている。
前までは、一番したっぱであったのは星太郎だったのだが、巫兎が入ったことにより、今では巫兎が一番したっぱだ。
だが、そんな巫兎は星太郎や大和よりもよく働き、ミスもないため、入って数日でハジメのお気に入りとなっていた。