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□夜景よりも
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私達は今TWICETVの撮影で
シンガポールに来ている。
各ペアに1台ずつ渡された
ビデオカメラで部屋で過ごしている
風景を撮っているところだ。

窓の外に出て夜景を見ているサナ

『めっちゃ綺麗やな』

そう言った彼女の横顔の方が何倍も
何十倍も綺麗だと思う。
隅に置いてあった机の上にカメラを起き
サナを後ろから取る角度になった。

この背中に色々なものを背負っているんだな。そう思うと支えになりたくてそれと反面サナが愛おしくてたまらない。
私は後ろからお腹に手を回す形でサナを抱きしめた。

『どうしたん?』

「んー」

サナは髪の毛を片方にまとめていたため
もう片方の首があらわになっていた。
そこに顔を沈めて全く答えになっていない返事をする。

『甘えたさんやな〜』

「夜景も綺麗だけどサナちゃんの方が
断然綺麗だよ。」

『……ありがと』

いつもはヘラヘラ笑っているくせに
こういう時は顔を真っ赤にして恥ずかしがるからずるい。その顔に何度も落とされてきた。

「誰にも取られたくない。
ずっと一緒がいい。」

『大丈夫やで。サナ他の人なんて興味すらない。』

素直に気持ちを伝えるという事は
とても勇気のいる事で今の私の顔は
きっとリンゴみたいに真っ赤だ。
タイミング悪くサナが振り返って
こっちの顔を覗き込んでくる。

『顔真っ赤やん!自分で言っときながら
めっちゃ照れるんやめてや可愛いなあ〜』

「うるさい…。笑うな。」

私は恥ずかしくてサナの顔を手で覆った。
その手をサナが取り私の目をじっと見る。
さっきまでとは違う大人の女性らしい表情。
大人の雰囲気が周囲に漂う中私は聞く。

「誘ってんの?」

『誘ってる』

誘ってると言いながら私の頬に手を
当てて来たサナがとても大人で魅力的で
綺麗で色んな事を思いながら顔を近づける。

「……あ。」

『???』

唇が触れる寸前で呟いた私に対して
サナの頭の上には?のマーク。
ポケーっとしている顔も可愛い。

「カメラ置いてあるの忘れてた」

『あ、カメラ置いてあったんや。
全然気付かへんかったわ。』

二人でカメラに近づき電源を
消したと同時に熱いキスを交わした。
サナの後頭部を軽く持ち何度も何度も
角度を変えてキスをする。

『っ…はぁっ』

「ごめん苦しかった?」

『んーん…もっと』

「…がっつきすぎ」

息を切らしながらも首に腕を回してくる
サナを抱き上げ部屋に入り
ベッドに下ろした。

「愛してるよ」

押し倒す形でサナにまたがり
そう伝えるとニヤニヤしながら
サナが両手を私の頬に伸ばしてくる。

『そんなん知ってるわ。』

いつの間にか首に回されていた
サナの腕がお互いの顔の距離を
どんどん縮めていっている。
長い長い夜が始まる合図だ。
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