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□たまにの夜
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今日は、水曜日。
時計を見ると23時を過ぎようとしていた。
いのちゃんが翌日生放送があるから、水曜日の夜は、いつも1人。
ふとTVを見るとオレたちのCMが流れて、いのちゃんが満面の笑みでオレを見てる。

あぁー……いのちゃんに会いたいな…。

LINEを開いて、打ってみる。
「声が聞きたいな」

いつもなら、打ってもすぐ閉じてしまう。
オレのわがままをいのちゃんにぶつけたって、困らせるだけだって分かってる。
それでも、今日は送ってしまいたかった。
たまにはいいかな?なんて思いながら、気付いたら送信ボタンを押していた。

しばらく見てたけど、既読にはならなくて。
やっぱり寝ちゃってるよな…と呟いて、シャワーを浴びることにした。


はぁー…
と、ため息をつくと携帯が鳴ってるのに気付き、いのちゃんかも!と期待して小走りで携帯のもとへ。

画面を確認すると、いのちゃんからでもうオレはウキウキしてニヤけが止まらない 笑

切れちゃう!と、思って慌てて電話に出る。

「もっ、もしもしっ!」

しまった!どもってしまった。

『もしもし?だいちゃん?笑』

クスクスいのちゃんが笑ってる。
恥ずかしい……。
黙ってると、いつも通り優しい口調でいのちゃんが話し出す。

『だいちゃん?どうしたの?さびしくなっちゃった?』

「ごめん…、寝てたよね?」

『ふふっ、ウトウトはしてたけど。』

時計を見ると23時45分になっていた。
あっ、申し訳ないことをしてしまった…。と、思ってしまい、また黙る。

『大丈夫だよ。俺もだいちゃんの声、聞きたかったし。だから、声聞かせて?"いのちゃん、好きだよ"って、言ってごらん?笑』

「そ、そんなこと、言えねーよ!」

『やっと声が聞けた。たまには好きだよって、言ってくれてもいいのにぃー。笑』

「言わないっ!それに、やっぱいのちゃん寝ないと!」

『え?もう切るの??』

「うん!声聞けて嬉しかったよ!だから、もう寝ましょう!」

あまり長く話してると、切る時に余計寂しくなっちゃう……

『えぇー…じゃあ、生放送終わったらだいちゃんの家行くね。お昼寝一緒にしよー!それで、夕方からの収録、一緒に行こ?』

「……うん。」

『ん?』

「……いのちゃん好きだよ!」

ちょっと早口になっちゃったけど、勇気を出して言ってみた。
言葉にしてしまうと、急に恥ずかしくなる。
いのちゃんが電話の向こうでニヤニヤしてるのが、簡単に想像がつく。

『だいちゃん、もういっか……』

「じゃあね!おやすみっ!」

また言わされると思い、強引に電話を切った。
すると、すぐにいのちゃんからLINEが来た。

【もぉー!一方的に切らないでよ!
会った時にも言ってもらうからね!
最後のめざましジャンケン、見てね!
俺もだいちゃんのこと、大好きだよ。
おやすみ】

番組開始からいのちゃんを見るんだ!と意気込んでアラームを5:20にセットし、眠りについた。

結局、アラームで起きることは出来なかったけど、なんとか最後のジャンケンには間に合うように起きれた!

ジャンケンは、いつもグーと決まってる。
ボタンがブルーだからね!笑
さぁ!いのちゃん、勝負だ!!

あぁー!いのちゃんは、パーを出したからオレの負けだ……。
ちくしょーっ!って、思ってるとTVの中のいのちゃんが

『いつでも電話してきて?待ってるから。』

そう言って、パーのままニコニコして手を振っている。

おいおい!
公共の電波を使って、何言ってるんだよ!
と突っ込みながらも、ニヤニヤしている自分に気付く。

しょーがねぇーなー…
帰って来たら、言ってやるか。


「いのちゃん、大好き」


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