* 短編

□uncontrollable
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 「あれ?ゆーりは?」


奈『あ〜彩さんお帰りなさい♪ゆーりちゃんなら御手洗いに行きましたよ』


 「そっか…」


少し前にスタッフさんに呼ばれて席を

外していたあたしは、打ち合わせが終わって

からすぐパーティ会場に戻ってきた。

そこにはゆーりの姿がなくて、なぜか

ゆーりの席になぁちゃんが座っていた。


奈『彩さん♪イイコト教えてあげましょうか』


 「え?なに?イイコトって」


なぁちゃんはすごく顔をニヤニヤ

させてあたしに耳打ちしてきた。


奈『さっきね、彩さんがスタッフさんに呼ばれて席を外したじゃないですか』


 「うん」


奈『そしたらゆーりちゃんが、『あ〜彩さん行っちゃった…寂しいなぁ…』って言ったんです!あのゆーりちゃんが!しかも本当に寂しそうな顔してて!ヤバくないですか!?』


 「・・・・それはヤバいな」


確かにあたしが席を立った時、少し悲し

そうな顔をしてたかも…

でもまさかあたしがいない時にそんな

デレを発動されてたなんて…可愛すぎる!!

嬉しすぎて顔がニヤケるのを我慢できない。

昔のツンツンゆーりはどこに行って

しまったのか…こんなにデレられたら

ずっと我慢してるあたしの理性がもたない…

でも、なぁちゃんはなんでそんな事を

教えてくれたのだろう…

なぁちゃんはゆーりの事が好きかも

しれないと思っていたんだけど…

ゆーりは席を外してるし、周りのメンバーは

みんなダンスショーに夢中だ。

聞くなら今がチャンスだと思った。


 「あのさ、、なぁちゃんってゆーりの事どう思ってるん?」


奈『え?ゆーりちゃんですか?』


 「うん…」


なぁちゃんはうーんと唸りながら

考え始めた。


奈『そうですね〜例えて言うなら、男子高校生の幼馴染みみたいな感じですかね〜』


 「男子高校生?w 誰が?」


奈『私とゆーりちゃんがw』


 「なんやそれwどういうこと?」


奈『私とゆーりちゃんっていつも話してる内容が男子高校生みたいなノリなんですよ!だから、昔からずっと一緒にいる幼馴染みで、これからも隣りにいてほしい相棒みたいな存在ですかね』


 「じゃあ恋愛感情は…」


奈『決してないですよ!私にはゆうちゃんがいるんで!』


 「ゆいりーちゃんの事?」


奈『そうです!村山彩希ちゃん!あたしはゆうちゃん一筋ですから♪』


 「なんかめちゃくちゃ堂々と言ってるけど…ゆうなぁコンビはガチなん?」


奈『それはご想像にお任せします♪』


 「なんでやねん!教えてや!」


奈『フフッ♪内緒で〜す』


結局なぁちゃんは答えてくれなかったけど、

その幸せそうな笑顔を見てなんとなく

わかった気がした。

なんだ…なぁちゃんはライバルじゃなかった

のか…


奈『彩さんこそどうなんです?』


 「どうって?」


奈『ゆーりちゃんに恋愛感情はあるんですか?』


 「、、、どうやろ…」


ゆーりが好きだと素直に言えたらいいのに…

それが言えないのが今のあたしだ…


 「なぁちゃんはさ、、STUの船長やん?、、ゆいりーちゃんとの事迷ったりせんかった?」


奈『あぁ、、』


あたしの質問になぁちゃんは顔を少し

曇らせてしまった。

あまり聞かれたくなかったかな…

でもどうしても聞きたかった。

最近のあたしは自分の気持ちと自分の

置かれてる立場の間で足掻いているから。

何でもいいからこの苦しい状況をどうしたら

いいのかヒントがほしかった。


奈『それはもうかなり迷ったし悩んだし苦しみましたよ。体調崩すくらい…
でも、好きになってしまったらもう誰にも止められないってわかったんです』


奈『自分自身でも制御不能になった瞬間があって…そうなってしまったらもう素直に自分の気持ちに従うしかなかった。だから私はそうしたんです』


この真面目で有名な、なぁちゃんでも

制御不能になることがあるんだ…

恋ってすごい力を持ってる。

あたしはどうだろう…

あたしにも来るかもしれない。

制御不能になる瞬間が。


奈『このあとインスタライブ一緒にするんですよね?』


 「そうやねん。前から一緒にやりたいねって話しててさ」


奈『さやゆーりのイチャイチャ楽しみにしてますね♪』


 「ガチヲタやなw」
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