* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ1
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3年の教室は最上階の3階。
運動嫌いの私だけどなんとか猛ダッシュして
朝のHRに間に合った。
窓際の1番後ろのこの席は正に特等席で
お気に入りだ。
担任の先生が何か言ってるけど私の視線は
この特等席からよく見える校門に
向けられる。
本鈴が鳴ると立ち当番の先生が校門を
閉めるのだが、重い門をあの小さな体の
山本先生が閉めるのは凄く大変らしい。
必死に門を閉めようとする姿があまりにも
可愛らしくてつい顔がニヤつきそうになる。
"頑張れ、あともう少し"
心の中で応援していると、やっと門を閉め
終えた山本先生と目が合った気がした。
井『太田氏。』
「何?井尻氏。」
井『顔がニヤついてますよ』
「そんなことねーし。」
井『校門にあの人がいるもんねー』
「うるさい…」
女性を恋愛対象で見た事はなかった。
まさか自分が女性を好きになるなんてと
戸惑いがなかったかと言えば嘘になるけど、
性別なんて関係なかった。
私にとってこの想いはきっと、
必然的だったから。