* 長編 キミだから好きなんだ【完】

□キミだから好きなんだ2
4ページ/4ページ





ふと目に入った公園。

ここでよく友達と遊んでた。

小学生の時、運動が苦手な私にパパが

付きっきりで逆上がりを教えてくれて、

そのおかげでできるようになった。

ブランコも好きだった。

家に帰りたくない時はよくここで時間を

潰していた。

中学生以来乗っていないあのブランコに

なんとなく久しぶりに乗りたくなって、

昔の思い出に浸りながらブランコを

力いっぱい漕いでみた。




改めて思うけど、

ブランコって結構スリリングな遊具だ。

この手を鎖から離す事が出来たら私は

楽になれるんじゃないかって、

あの時も確か思った。

でも結局手を離す事なんかできなくて。



虚しくなって漕ぐスピードを緩めて足を

地面に着けた。

何してるんだろう私…

もうそろそろ帰らないといけないと

わかってるのに帰りたくない。

でも帰らなきゃ…


 「ハァ…」


溜め息を吐いて重い腰を上げようとした時、

突然目の前が真っ暗になった。





 『だぁーれだ』




後ろから目隠しされて何も見えない。


でも、


わかってしまうんだ。


その声、


温かな手、


大好きな香り、、




 「…彩さん」



明るくなった視界。


後ろを振り返るとそこには…


優しい笑顔の彩さんがいた。
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ