* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ3
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彩『もうこんな時間やし家まで送るわ。』
「自分で帰れるので大丈夫です。先生だって若い女性なんだから帰り道気を付けなきゃ。」
彩『でも…心配やねんけど…』
「大丈夫ですって。ここから家までそう遠くないですし。」
彩『、、そっか。わかった。』
楽しい時間はすぐに終わってしまう。
このまま時が止まればいいのになんて、
柄にもない事を考えていた。
彩『それじゃあ気を付けて帰れよ。』
「はい。先生もね。おやすみなさい。」
彩『おやすみ。』
学校ではあまり彩さんと話す事はできない。
だから今日は久しぶりにたくさん話せて
とてもいい日だった。
届く事のないであろうこの気持ち。
忘れられるものなら忘れてしまいたいとも
思った。
考えないように勉強に逃げてるのに…
" 夢莉ー!"
後ろを振り返ると彩さんがこっちを見ていて
彩『久しぶりに"彩さん"って呼んでくれて嬉しかったで!家に帰りたくなかったらまた前みたいにうちに来ていいからさ!』
また明日な!なんて言いながら手を振り
彩さんは帰って行った。
「、、」
ほら。
キミはいつもそうやって忘れさせては
くれないんだ。
私の心を掴んだまま、離してはくれない。