* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ4
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side sayaka
"山本先生!"
体育倉庫で午後の授業に向けて準備を
していると、自分を呼ぶ声が聞こえた。
「おぉ東、どうした?」
後ろを振り返ってみるとそこには
3年の東由樹が立っていた。
東『あの…コレ!』
手渡されたのは可愛くラッピングされた
クッキーだった。
東『調理実習で作ったんです…よ、よかったら食べてもらえませんか?』
「…先生が貰ってええの?」
東『先生に食べてほしいんです!』
「そっか。それならありがたく貰うわ。ありがとな!」
東は顔を真っ赤にして軽く会釈をして
走って行ってしまった。
この前はお弁当を作って持って来てくれたし
どんなに鈍感な人でもわかるであろう淡い
好意を感じていた。
あたしと顔を合わせる度に頬を赤く染める
東の事を、とても可愛い子だと思ってる。
でも、
可愛い教え子のひとりとしか思ってない。