* 長編 キミだから好きなんだ【完】

□キミだから好きなんだ6
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side sayaka




 "もう帰らないって言ってるでしょ!"


 "ほっといてよ!"


 "ママの顔なんか見たくない!"


 "っ、ハァ…ハァ…"



部屋の中に入ると夢莉ちゃんは凄い

興奮状態だった。

随分荒くなってる息遣いが気になって

いると


 「っ!、夢莉ちゃん!大丈夫?!」


 『っ、ハァ…っ、ハァ…』


手に持っていた携帯がガタンと落ちて、

夢莉ちゃんは苦しそうに肩を上下させながら

床に座り込んだ。

これは過呼吸かもしれない。

呼吸をしたくてもきっと上手くできないの

だろう。


 

 "夢莉!!どうしたの!?夢莉!!"


床に落ちた携帯から女性の声が聞こえた。


 「もしもし。突然すみません。今、夢莉さんが過呼吸状態になっているのでまた落ち着いたら電話します。一度電話切りますね。」


相手の返事を聞く間もなく電話を切った。


 「夢莉ちゃん。落ち着いて呼吸しようか。深呼吸すると余計苦しくなるから、浅く吸ってからたくさん息を吐こう。できるか?」


コクコクと首を縦に振る夢莉ちゃん。


 「あたしが数を数えるから1、2で息を吸って、3から10で吐いてな。いくで?」


数を数えながら夢莉ちゃんの背中に手を

当てた。






それから30分くらい経った頃、

だいぶ呼吸も安定してきた。


夢『楽になってきました…また迷惑かけてしまってごめんなさい…』

 「そんなん全然ええよ。気にすんな。」

夢『、、』

 「あのさ、、あたしでよかったら夢莉ちゃんの話し聞かせてくれへん?」


この時のあたしは、

キミを苦しめるものが何なのか

知りたかった。
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