* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ7
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体育が終わり、次の授業の準備をする。
井『太田氏どうだったの?二人っきりの保健室♡』
「別になんもないわ」
井『えぇぇーつまんねー。あっ、でも、さっきの何気にびっくりしたんやけど。』
「何が?」
井『山本先生が駆け付けてくれた時、"夢莉"って呼んだやん?生徒のこと下の名前で呼ぶなんて聞いた事なかったから』
「そ、そうだっけ?」
井『夢莉と先生が保健室行ったあとみんなザワついてたんやで!あのふたり怪しくない?って』
うわぁ…面倒な事になってる…
井『ゆきつんとか山本先生狙ってるからさ。まあ何か言ってきても適当に流せばいいと思うけど。もし困ったらあたしが助けるしさ』
「うん…ありがとう」
その後、井尻さんが言ってた通り
ゆきつんこと、東由樹ちゃんから帰りに
少し話せないかと呼び出された。
東『ゆーりちゃん、帰りにごめんな!そんな長くならないから』
「うん。どうした?」
東『あのさ、、山本先生とゆーりちゃんって…どういう関係なんかなって…』
やっぱりこの話題になるよね…
「、、特に何もないけど…」
東『ほんと?体育の授業の時、山本先生が"夢莉"って呼んでたから…他の生徒には絶対名字で呼ぶのに…』
「た、たまたまじゃない?クラスのみんな私のこと下の名前で呼ぶからそれが移ったとか…」
明らかに苦しい言い訳しかできない…
どうしよう…
東『…ほんまに何もない?』
「うん…」
そう伝えるとゆきつんは曇ってた顔が
一気にパッと明るくなった。
東『よかったぁぁ!ここだけの話、あたし山本先生の事が好きなんよ!』
それ…みんなにバレてるの本人は気づいて
ないんだ…
東『だから、もしゆーりちゃんが山本先生と付き合ってたら全然あたしなんかゆーりちゃんに敵わんからさ…凄く不安だったの』
心底安心した顔をするゆきつんを見て、
複雑な気持ちだった。
この子はこんな素直に気持ちをさらけ
出してるのに私は本当の気持ちを隠してる
卑怯者だ。
東『それだけ聞きたかったんだ!時間作ってくれてありがとう!それじゃ、また明日ね!バイバイ〜♪』
「バイバイ…」
キミに想いを伝えた日のことを思い出した。
キミに拒絶されてから私は
自分の気持ちに蓋をしてる。
なのに会う度に想いが溢れてきて、
伝えてしまいたくなる。
大声で叫びたくなるのに
それができない。
だって私を拒絶したあと
キミは泣いてたから。
私がキミを好きになることで
キミが泣くのなら、
こんな気持ち…捨ててしまいたかった。