* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ8
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side yuuri
「アカリン、はい。ノート持ってきたよ」
英語委員の私は授業後ノートを回収して
職員室に持っていくのが役割だ。
吉『ゆーり〜いつもありがとな♪そんな良い子のゆーりにはあめちゃんあげるわ』
「ヤッタ♪ありがと〜」
実はアカリンは私のいとこだ。
ママのお姉さんの子供がアカリン。
吉『うちのおかんがゆーりの顔見たがってたで。電話しても繋がらんし、
3回忌の時に会った以来やからって』
「そうだね…」
3年前のあの出来事でママは精神を病んだ。
私もパパも病んでたけど、ママは誰よりも
自分を責めていた。
今思えばママの話をもっと聞いてあげれば
よかった。
でもあの頃の私は自分の事しか考えられ
なくてママをたくさん責めてしまった。
そして2年半前、
ママは自殺した。
高1の春だった。
吉『半年近く会ってないし、今晩にでもうちにごはん食べにおいでよ。明日学校休みやし泊まっていけばええやん。そうしよ?』
「、、はい…」
予備校帰りにアカリンが車で迎えに来て
くれる事になった。
予備校の前で待っていると、赤い車が
目の前に横付けされた。
吉『ゆーり〜お待たせ♪さぁ、乗って乗って』
「迎えに来てくれてありがとう。じゃあお願いします」
アカリンの家には小さい頃よくお泊まりに
行っていた。
アカリンママこと、マリコおばさんは
凄く元気がよくて優しくて私をいつも
可愛がってくれた。
そして姉妹なだけあってママに似てる。
ママに似てるからこそ、会うのをどこか
躊躇ってしまう自分がいた。