* 長編 キミだから好きなんだ【完】

□キミだから好きなんだ8
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パパのアメリカでの話や、アカリンが

留学してた時の話とか、とにかく凄く

楽しい時間だった。


マ『今日うちに泊まっていけばええのに!』

父『いえ、私はうちに帰ります。明日朝イチの便でアメリカに戻らないといけないので。アツコにも会いたいですし』


アツコとは私のママの名前だ。


父『夢莉はせっかくだから泊まらせて貰いなさい』

 「え、いいの?」

父『みなさんがご迷惑でなければですけど…』

マ『うちは全然ええよ!ゆーりはうちの子みたいなもんやから』

父『そう言って貰えるとありがたいです。それじゃあよろしくお願いします』


パパともう一度ハグする。


父『寂しくなったらいつでもアメリカに来なさい。お前はパパの大事な娘なんだから』


 「ありがとう。パパ」


パパの優しい笑顔が大好き。






パパが帰ってからお風呂に入って、

今はアカリンの部屋でのんびりしてる。


 「今日はほんとにありがとね。凄く嬉しかった…」

吉『喜んでくれてよかったわ♪おかんも安心してたで。ゆーりとゆーりのパパの関係が元に戻って』

 「うん。パパにはほんとに感謝してる。私はパパの本当の子供じゃないのに…」

吉『ゆーりが生まれた時からずっと見てきたんやから、パパからしたら我が子にかわりないと思うで?』

 「そうかな…でも、もし私がパパの立場だったら無理だって思う。だってママの元彼の子供って…」




パパとママが口論してた時に聞いて

しまった。

パパは当時も仕事が忙しくて毎晩帰りが

遅かった。

そんな中、ママは寂しさのあまり女友達と

飲み歩くのが日課になっていたらしい。

そこでたまたま元彼と再会してしまい、

関係を持ってしまった。

そのあと妊娠が発覚して、ママはお腹の

子供の父親がパパなのか元彼なのか分からず

不安だったけど、ずっと不妊で苦しんでた

ママはパパとの子供だと信じて産む事を

決意した。

私が中3になるまで血液型検査をせずに

いたのはどこかで元彼との子供かも

しれないという気持ちがあったから

なのかな…

そんな事を全く知らなかったパパは私が

アレルギー検査の為に採血したついでに

血液型検査をした。

私が自分の血液型を知りたがったからだ。

今でも覚えてる。

検査結果の紙を見た時のパパの顔。

何型だったのか聞いたらパパは、

"お前はママと同じB型だよ"と言った。

そのあと看護婦さんとパパが何か話してた。

私はこの時、

これで血液型占いができる♪なんて

暢気な事を考えていた。




吉『そういえばさっき、ゆーりのパパからお金貰ったで。ゆーりの年頃の子の欲しい物がわからないから一緒に買い物に行ってほしいって。あたしの分のお小遣いまで貰っちゃった〜♪だから明日買い物に行こうや♪』


 「うん…」


あの日、真実を知ったパパは一体

どれほどの葛藤があったのか考えたら

眠れなくなった。
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