* 長編 キミだから好きなんだ【完】

□キミだから好きなんだ10
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side sayaka



今日は生徒たちが楽しみにしていた

パーティの日だ。

この学校の陸上部では毎年、校内にある

レクリエーションルームを貸し切り、

クリスマスパーティを行うのが伝統に

なっていた。

開始時間の1時間前に飾り付けをするのだが

担当の1年生はすでに全員揃っていて作業を

開始していた。みんなエライ!



飾り付けも終わり、買い出し担当の

2年生も到着した。

買ってきたお菓子やケーキ、飲み物などを

並べていくと、だんだんパーティーらしい

雰囲気になってきた。

あとは3年生が来るのみだな。




一度職員室に戻り、職員トイレの洗面台の

鏡を見ながらサンタ帽をかぶる。

なんか…24の女がこんな帽子かぶって

大丈夫かな、、生徒たちに引かれるかも…

今更になって凄く恥ずかしくなってきたけど

今日はみんな何かしらコスプレする決まり

だし…ここは開き直っていくしかない。




レクリエーションルームに戻ると、

3年生も全員揃っていた。

みんなサンタや雪だるまやトナカイなど

クリスマスっぽい格好をしていた。


 「お〜みんな可愛い格好してきたなぁ!」

 『あっ!来た!さや姉可愛い〜♪ポニーテールにサンタ帽とか最強!』 

 「ほんまに?ヤッタ♪」


よかった…引かれなくて…





 "ゆーりちゃん!なんでそんな隅にいるの?こっちおいでよ!"

 "シーーっ!あんまり大声で呼ばないで"


ゆーり?

ゆーりってもしかして…



声のした方を見るとサンタのコスプレをした

夢莉が部屋の隅に座っていた。



 「太田来てたんや。」


近くに行って夢莉の全身を見てみると、

ミニスカサンタだった。



これは…

ここに男の先生がいなくてよかった。

鼻血が出そうなくらいヤバい…


 「エライ可愛いの着てるやん」

夢『ここに来たら用意されてたんです…決して着たくて着た訳じゃないですよ!』

 「あはっw そうなんや。」


そうだと思った。

夢莉がこのコスプレを選ぶとはとても

思えないし、きっと誰かに着させられたの

だろう。


 「でも似合ってんで?可愛い」


そう言って頭を撫でると、

夢莉の顔が赤くなった気がした。



そんな反応をされると勘違いしてしまい

そうになる。

公園で会った日、まだ自分の事が好きかと

訊ねてみた。あっさり否定されたけど。

でも、

もしかしたらまだ好きでいてくれてるかもと

思う時があるのだ。

自分と話している時の表情だったり、

ふと目が合う瞬間だったり…




 『ねぇ〜今度休みの日に先生の家に行ってもいい?』

 「はぁ?何しに来んねん」

 『ご飯作ってあげる♪』


最近の高校生は相手が教師だろうと

こんなに積極的なのか…困ったもんだ…


 「自分で作れるからええわ」

 『え〜!行きたいのにぃ〜!』


あたしの家には

ひとりしか入ったことがない。
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