* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ14
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side sayaka
昨日、夢莉は大雨の中ひとりで帰って
行った。
あたしには追いかける資格などなくて、
夢莉を傷つけてしまった自分自身に
腹が立っていた。
最悪な気分のままグラウンドへ行く。
部員たちから『隈が凄いよ』と心配された。
昨晩は一睡もしてないからな…
部活が終わり、職員室に寄って帰ろうと
した時だった。
『山本せ〜んせ♪』
「、、岡田…」
そこには今一番会いたくない人、
岡田奈々がいた。
「…どうした?学校に何か用事でもあったん?」
今はもう冬休みに入ってる。
補習や部活がある訳でもない岡田がどうして
ここに居るのかわからなかった。
岡『山本先生にわざわざ会いに来たんです。言いたい事があって。』
「言いたい事?」
岡『昨日の夜、ゆーりちゃんと電話する約束してたのに携帯の電源がずっと切れてて…もしかして先生に襲われてるんじゃないかって心配だったんです』
「…は?」
岡『でもちゃんと今朝連絡してくれたんで、安心しましたけどね♪』
今日の岡田はいつもの雰囲気じゃない。
岡『知ってるんですよ?昨日、先生がゆーりちゃんを自分の家に連れ込んだの。』
どうして…それを?
岡『しかも仲良くポケットの中で手繋いでたでしょw』
「もしかしてお前…ついて来てたん?」
岡『物騒な言い方しないでくださいよ〜w たまたま先生とゆーりちゃんが歩いてる所を見かけただけですよw』
そんなはずない。
あたしと夢莉以外は全員駅の方へ歩いて
行ってた。
反対方向へ歩いてた岡田があたしと夢莉が
一緒に居るのを見られるはずがない。
岡『あたし、入学式でゆーりちゃんを一目見た時からずっと好きなんです。だから、ゆーりちゃんの視線の先にいつもいるのが山本先生だって事にも気づいちゃって…』
岡『先生、ゆーりちゃんが自分の事好きなの知ってますよね?先生もゆーりちゃんの事が好きで…両想いですね。』
「、、そんな訳ないやろ…」
岡『プッ、嘘つくの下手なんですねw 気持ちを否定するのは自分が教師だからですか?』
岡『それとも何かトラウマがあるとか?なんか可哀想…』
「、、」
岡『私は先生と違ってゆーりちゃんと同じ学生なんで、堂々とお付き合いできますよ。羨ましいですか?w』
「…太田がお前と付き合ってもいいって言えばの話やろ」
岡『もちろんそうですよ。でも、先生はそうはいかないでしょ?』
「、、」
岡『あたしだったらみんなの前で堂々と手を繋いだりできますし、』
今日の岡田はいつもと違う。
どこか狂気じみた表情で
あたしの目を真っ直ぐ見て近づいてくる。
そして、耳元で囁かれた。
岡『あたしだったらゆーりちゃんと、、』
岡『キスだって、、』
岡『セックスだって出来ますよ。』