* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ17
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side sayaka
「いつまでくっついてんねん。離れろや」
愛『え〜だって今からお楽しみだって先輩言うてたやん〜w』
「アホか、冗談や」
この子は大学の後輩の谷川愛梨。
あたしが在学中可愛がってた後輩だ。
昨晩、酒の飲み過ぎで気持ち悪くて
動けないから助けてほしいといきなり
電話をよこして来た。
場所を聞くとうちの近所だったから
迎えに行き、家で休ませていた。
朝起こしたものの全く起きる気配がなくて、
仕方なくそのまま家に置いてあたしは
仕事に行ったのだ。
「愛梨、お前もう3年やろ?そろそろ真面目にならなあとで自分が大変やで?」
愛『わかってるんですけどねぇ。なかなか飲み歩くのやめられへんくて〜。でもあんな遊び人だった彩さんが今ではこうして立派な先生やってるんだからあたしだって大丈夫でしょ〜♪』
「ほんま暢気やなぁ愛梨は…」
確かに大学時代のあたしは相当酷かった
けど…
愛『ねぇ、さっきの女の子は何やったんですか?何であんな嘘を?』
「まぁ…色々あって、、愛梨、悪いけどちょっとひとりになりたいから目が覚めたなら帰ってや。」
愛梨は可愛い後輩だ。
もちろん体の関係なんてない。
さっきのやり取りはいつもの愛梨の
悪ノリだった。
それをあたしは便乗する形で利用したのだ。
夢莉から嫌われる為に…
学校ではずっと夢莉を見ないようにしてた。
あたしは夢莉から想い続けて貰うべき
人間じゃない。
そうわかってるけど目を合わせてしまう
だけでその決意が揺るぎそうで怖かった。
だから…
でも、その決意とは裏腹にあたしの中の
夢莉への想いは膨らむばかりだった。
3学期に入ってから夢莉と岡田が一緒に
いるのを嫌でも見かける事が増えて、
センター試験会場では夢莉と岡田が手を
繋いでるのを見てしまった。
あたしと夢莉は両想いだった。
本当ならあたしがその手を繋いでた
はずなのに…
自分で遠ざけておいて嫉妬をしてるなんて
あまりに身勝手すぎて嫌になる。
愛『それじゃ帰りますね♪ありがとうございました!』
バタンッ
「、、…くっ…っ…」
愛梨が帰った途端、
我慢していた涙を堪える事ができなくて、
膝を抱えて泣いた。
胸が苦しくて堪らない…
あたしだってキミが、、
しばらく合わせていなかった目が合った瞬間
一気に愛しさが溢れてきた。
精一杯、告白をしてくれたキミを
抱きしめたくて仕方なかった。