* 短編

□uncontrollable
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ザワザワザワ…


" きゃーーっ!さやゆーり!! "


 「うわっwすごいな」


すぐ隣りのゆーりと目を合わせて笑い合う。

今日は握手会をしていて、休憩を終えた

あたしとゆーりが手を繋いで一緒に会場に

戻ってきただけでこんなにもファンは喜んで

くれる。


最近、あたしとゆーりが本当のカップル

みたいだとファンやメンバーからすごく

もてはやされるようになった。

あたしもゆーりもサービス精神旺盛だから、

わざとみんなの前でイチャイチャして

ファンが喜ぶ姿を見て楽しんでいた。



握手会が終わり、今は控え室にゆーりと

一緒に居る。

そして同じタイミングでTwitterを更新した。


夢『すごい!もうリプが来た!みんなさやゆーりだって喜んでくれてるね!』


  「ほんまやwみんな好きやな〜」


夢『最近さ、握手会にさやゆーりファンがいっぱい来るけど、本気で私たちが付き合ってるって思ってる人いるのかな?』


 「どうやろなぁ、、少しはおるんちゃう?」


あたしとゆーりは実際のところ、

付き合ってない。


 『ゆーりちゃん、おまたせ〜♪』


夢『あ〜やっと来た〜奈々ちゃん』


奈『待たせてごめんね!』


夢『全然いいよ〜』


 「今日もチョコミン活?」


奈『そうなんですよ!彩さんも行きます?』


 「あぁ…あたしはパス」


夢『チョコミント苦手だもんね』


 「だってハミガキ粉やん」


奈『えぇ〜おいしいのに〜』


夢『彩さんはまだ帰らない?』


 「うん、、あたしはまだやる事あるからもう少ししたら帰るわ」


夢『そっか。それじゃあ先に帰るね』 


 「おう。お疲れ〜」


夢 奈『お疲れ様でした〜♪』


二人とも手を振りながらにこやかに帰って

いった。

賑やかだったこの空間が一気にシーンと

静かになった。

あの二人を見ていると、あたしの心はいつも

モヤモヤしてしまう。


吉『あれー?ゆーりはもう帰ったん?』


 「あっ朱里まだ居たんや。ゆーりならさっきなぁちゃんとチョコミン活に行ったで」


吉『また!?好きやな〜チョコミント』


 「ほんまやで…」


吉『あれ?なんか元気ないなぁ?もしかして〜ヤキモチ妬いてる?』


 「はぁ?誰に?」


吉『岡田奈々に』


 「、、なんでやねんw そんなわけ…」


なくなかった…


朱里の言う通りだ。

あたしはあの二人を見ていると少し

妬いてしまう。

だってあたしは…

ゆーりの事が好きだから。


同じチームだった頃はあたしをとても

慕ってくれてるゆーりの事を可愛い後輩でも

あり妹のように感じてたはずだった。

でもチームが離れてから、ゆーりの存在が

自分の中ですごく大きなものだった事に

気づいて、妹なんかじゃなくひとりの

女性として惹かれていたんだと気づいた。

でもあたしは色んな葛藤ゆえに自分の

気持ちを伝えられてないままだ。


吉『モタモタしてたら取られんで?さや姉』


 「わかってる…」


いつの間にか朱里にバレていたこの気持ち。

手遅れになる前にどうにかしなきゃと

わかってはいるけど一歩踏み出せずにいた。


あたしはNMBのキャプテンだし、

48グループは恋愛禁止だ。

みんなの手本にならないといけない存在の

あたしがルールを破る訳にはいかない。


でも、最近のあたしに対してのゆーりの

態度がその気持ちを揺さぶってくる。

手を繋いだり抱きついたりしても受け入れて

くれるし、あたしに向けられる視線が

あまりにも優しくて、もしかしたらゆーりも

あたしと同じ気持ちでいてくれてるかもと

思うことがあるのだ。


両想いかもしれない。

告白してしまおうかな…

早くしないと誰かに取られてしまうかも…

でも、あたしはキャプテンなのにルールを

破るのか?

・・・・


最近のあたしは迷ってばかりだ。


そんな中、AKBグループによる

初のグアム公演が行われることが

発表されて、そのメンバーの中には

あたしとゆーりの名前があった。

岡田奈々の名前も。
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