* 長編 love triangle

□love triangle5
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side yuuri




 「真っ暗ですね…」


あ『うん。ひとりではあまり来たくないよな…』


扉の中は真っ暗でかなり埃っぽい。

そして6月だというのにひんやりしていて

少し肌寒い。


山本先輩がスマホのライトで地面や周りを

照らしてくれていた。


あ『ここ、電気のスイッチがどこにあるのかわからんくてさ。蛍光灯がついてるからあるはずなんやけど…』


ゆっくり少しずつ歩いていくと階段が

うっすらと見えてきた。


あ『ここから階段やで。気を付けてな』


 「…はい」


真っ暗な階段を山本先輩のスマホの灯りを

頼りに登ってたけど、


 「先輩、ちょっと止まってもいいですか?私もスマホ出します」


先輩だけにライトを点けて貰うのは申し訳

なくてポケットからスマホを出そうとすると


あ『ゆーりちゃんは出さなくてええよ。この階段危ないからしっかり手すり持っとき』


 「でも先輩も危ないですよ?」


あ『あたしは何回か来た事あるから大丈夫やって。だんだん急な階段になってくるから気を付けて』


 「、、ありがとうございます…」


先輩は本当に優しい…

可愛くてこんな心遣いもできるなんて…

感動してしまってこんなお化け屋敷のような

不気味な所を歩いてるというのに全然苦痛に

感じない。


あ『学校はどう?楽しい?』


 「はい。けっこう自由で自分に合ってるなって感じてます」


あ『そっか。それはよかった』


この学校は偏差値レベルがなかなか高い

進学校だ。

でも校則はけっこう緩くて、スカートを

短く切って履いていても、髪を染めたり

パーマをかけたりしても注意されない。

ネイルやピアスをしてる人だってちらほら

見かける。先生達もみんなオシャレだ。

そんな自由な校風からか、みんな伸び伸びと

スクールライフを楽しんでるように見えるし

私も今のところ平和に過ごしている。





トントントントン…


二人の階段を登る足音がやたら響く。

先輩の言う通り、確かに急な階段になって

きた。


あ『ゆーりちゃん、屋上の扉見えてきたで』


 「あっ、本当ですね!って、うわっ!」


ガタンッ!


あ『っ、どうした?!大丈夫?!』


 「痛っ、、すみません、階段につまずいちゃってw 」


急な段差の階段につまずいて脚のスネを

思いきりぶつけてしまった。

先輩の前でめちゃくちゃ恥ずかしくて

苦笑いしかでない…地味に痛いし、、


あ『スネぶつけちゃったんや…痛そうやな…歩ける?』


 「全然、大丈夫です!」


あ『ここの段差すごいもんな、、危ないから手繋いで行こ。』


 「っ、」
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