* 長編 love triangle

□love triangle6
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side sayaka





渡『はぁはぁはぁ… もう、乱暴なんやから…もっと優しくしてくれてもええやんか』


 「学校で盛ってくる方が悪い。もうイッたならええやろ。教室戻るわ」


渡『ちょっと、このハンカチどうすんの?』


 「そんなんいらん。捨てといて」


バタンッ



新学期2日目から生徒と校内でヤるなんて

やっぱり狂ってる。

そんな先生の誘いを断らないあたしも十分

狂ってるけど…



生徒指導室を出てからすぐに近くのトイレに

行き、洗面台で手を洗う。

渡辺先生との関係が始まってからあたしは

まるで潔癖症のようになった。

手を洗っても洗っても綺麗になったように

思えなくて、気づいたら10分以上洗い

続けてる事もある。



トイレから出て教室に向かいながら時間を

確認すると、休み時間は残り10分程しか

なかった。

もうこんな時間か…昼御飯食べる時間も

ないやん。食欲もないから別にいいけど…


 「さっき洗ったんやけどな、、」


教室に近づくにつれてまた洗いたい衝動に

駆られて、教室に1番近いトイレに入った。



バシャバシャバシャ…


梓『あっ!彩さんや』


洗面台で手を洗っていると、聞き覚えのある

声がして、後ろを振り返ると中学時代の

後輩 植村梓がいた。


 「あれ、梓やん!久しぶりやな!お前も同じ学校やったん」

梓『同じ学校どころか、同じクラスですよ!!』

 「え?そうなん?全然気づかんかったわ」

梓『席遠いですもんねw それにしても彩さんがまさか留年したなんてビックリですよ!』


そうだよな…これでも中学生の頃はそこそこ

頭いい方やったから…


 「うーん、、まぁ色々あってな。でも同じクラスにお前がいて嬉しいわ」


そんな事を話しながらふと梓の隣りに

いる子を見ると、、


 「・・・・」




この子、、、知ってる。



夢『、、あ、あのー何か?』


 「ん?あっ…いや、何でもない…」


あたしの顔を見ても特に何も言ってこないと

いう事はもう忘れてしまったのかな、、

去年の夏、あたしはこの子と会ってる。

そんな大した出会いではなかったけど、

覚えてくれていない事に少しだけ寂しく

思った。



梓『あ〜彩さん、ゆーりちゃんのこと可愛いと思ったんでしょ〜♪』


 「、、そんなんちゃうわ!」


梓『この子、同じクラスの太田夢莉
ちゃん』


夢『よろしくお願いします…』


 「あぁ…こちらこそ…よろしく」


洗面台の鏡越しに目が合った。

長かった髪、切ったんだ…

肩に少し掛かるくらいの長さも

似合ってるなと思った。


梓『ゆーりちゃんと彩さん一緒に美化委員やることになったんで、ちゃんと活動してくださいね!』


 「そうなんや。ってか、よりにもよって美化委員かよ…最悪やわ…』


あたしは去年も美化委員だった。

顧問の吉田先生が何でも仕事を引き受けて

きて生徒にやらせるから周りからは

 "ボランティア部"

なんて言われてるのだ。

今年もなんて勘弁してほしかったな…

自分が委員会決めの時サボってたから

いけないんやけど…



梓『彩さんそんなに手汚れてるんですか?さっきからずっと洗ってるけど』


やっぱり傍から見ても普通じゃないよな。


 「あたし潔癖症やから。触りたくないもの触ったりすると無性に手洗いしたくなるねん」


梓『あれ?そんな印象なかったけどなぁ昔からですか?』


梓はなかなか鋭い。中学の頃のあたしは

全然そんな事なかった。



そろそろ昼休みも終わるから教室に

戻らないといけない。

手を洗い終えてからハンカチがなくて

困っていると、


梓『あ〜私も今日忘れちゃったなーゆーりちゃんハンカチある?』


夢『あるよ。でも潔癖症の人って他人のハンカチとか嫌ですよね?ティッシュでよかったらどうぞ』


とても気が利く子だと思った。

確かに他人のハンカチを借りるのは

気が引けるから。

さっき行ったトイレではトイレットペーパーで

手を拭いたけど、今度はティッシュかと

思うと少し笑えてくる。

手渡されたティッシュはすぐに溶けて

ボロボロになってしまうトイレットペーパー

なんかより全然拭きやすかった。




昔からの悪いクセが出てしまった。

あたしの事をまじまじと見てくる

この子をからかいたくなった。

ティッシュをもう1枚取り出し、

目の前の綺麗な鼻筋にある可愛い

ホクロをひと拭きした。


夢『っ!何ですか?』


 「あれ?ごめんホクロかw ゴミが付いてるのかと思ったわ。ごめんごめんw 」


すごくビックリした表情のこの子を見て

嬉しくなった。

そういえば前もこんな顔してたな…



後ろで梓が何か言ってるけど二人を残して

あたしはトイレから出た。
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