* 長編 love triangle

□love triangle7
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side yuuri




約束の時間より少し早く学校に着いた。

自転車置き場に自転車を置いてから花壇に

向かう。


まだ1日が始まったばかりだというのに、

あの信じられない傾斜の坂を自転車を引いて

登ったせいで私はすでにクタクタになって

いた。



山本さんが来るまでの間、先に水やりの

準備を進めておこうと倉庫へ向かうと、


 「あれ?」


彩『あっ!太田さんおはよ!』


もう既に山本さんは来ていた。


 「おはよ!来るの早いね」


彩『うん。早く学校についたから先に準備しとこうと思ったんやけど、太田さんも早かったな』



あの出来事から1週間経った。


山本さんはちゃんと反省してくれたらしく、

朝と放課後の当番をしっかりこなしている。

そして今日はその最終日だった。



あの時、人見知りで友達作りが苦手な私が

山本さんに「友達になろう」なんて言えた事に

自分で驚いていた。


友達を作る難しさがわかるからこそ

言えたのかもしれない。

それに、山本さんが私と仲良くなりたいと

思っててくれた事が素直に嬉しかったから。



倉庫から花壇まで少し距離があって、

重たいホースを持っていくのがひと苦労だ。


彩『太田さん、ホース重たいからあたし持つで』


 「えっ、でも重たいからいいよ。昨日も山本さんが持って行ってくれたし」


彩『いいから貸して』


 「あっ、」


重たいホースをひょいと私の手から

持って行ってしまった。

山本さんは私よりも小柄なのにとても

力持ちだ。



水道の蛇口にホースのジョイントを差し込み

ノズルを握って散水を始める。


ザザーーッ


無駄に大きな花壇にまんべんなく水を

撒いていく。

今日は朝からすごく天気がよくて暑いから、

花壇の花たちが水をかけられて喜んでる

ように見える。


彩『太田さん見て!』


 「っ、何?」


彩『虹〜♪』


突然山本さんに呼ばれて何かと思えば、、

山本さんはノズルを空に向けて遊び始めた。


 「わぁ〜ほんとだ〜♪って遊んでる
場合やないから!早く水やりして!」


彩『は〜い…』


 「w」


注意すると唇を突きだしシュンとして

しまったのが面白くて笑ってしまった。


山本さんはまるで人が変わったかのように

なった。
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