* 長編 love triangle
□love triangle8
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side yuuri
ザーーーーッ
教室の窓からグラウンドに降りしきる
雨を眺めていた。
もう7月に入ったけどまだまだ梅雨前線は
日本に留まっているらしい。
『えぇぇー教壇の真ん前やん!最悪なんやけどー!』
『ヤッター!一番後ろやぁ♪』
ずっと待ち望んでいた席替えがたった今
行われ、クラスメイト達の喜びの声や
落胆の声があちこちから聞こえる。
一度席替えをしたら数ヵ月はその席に
なるのだから、傍から見たら少し過剰とも
思えるみんなの反応も私からしたら当然だと
感じる。
肝心な私はというと、、
彩『そこ、あたしの席やったのに…』
なんと念願だった窓側の最後列をくじ引きで
引き当てる事ができた。
そんな私に何やら不服そうな顔を向けてくる
右隣りの人。
「隣りに移動しただけやろ?そんなにかわらないし」
彩『それじゃあ代わってや』
「それは無理」
彩『夢莉のケチ』
私の右隣りは彩さんで、梓は残念ながら
また廊下側の席だった。
彩『まぁ…ここでもええけどな。夢莉の隣りやから』
「フフッ…なにそれ」
彩『そのまんまの意味やけど』
「どうせノート見せてほしいからそんな事言ってるんでしょ」
彩『…あはっw バレた?それじゃあ、いつもノート見せてくれるからお礼にこれあげるわ』
「あっ!新発売のチョコミントクッキーだ!ありがと〜♪」
彩さんはたまに授業中寝てしまう時があって
そんな時は決まって私にノートを借りに
来る。
それなのに6月にあった中間テストの成績は
私より上なのだ。
最近気づいた事だけど、彩さんはとても
頭が良い。
キーンコーンカーンコーン
『彩さ〜ん、数学のここがよくわからへんくて〜教えて?』
彩『ええで〜どれどれ』
休み時間になるとこうやって彩さんに
勉強を教えてもらいに来る子が増えた。
そしてそのほとんどの子が薄っすら顔を
赤くしている。
山本先輩ほどの話は聞かないけど、
実は彩さんもけっこうモテる。
昨日も昼休みに呼び出しされてたし。
それなのに本人にはモテてる自覚は
全くないらしい。