* 長編 love triangle
□love triangle10
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side sayaka
「先生…」
渡『ん?』
「もうこの関係終わりにしたいねん」
今あたしは渡辺先生の家のベッドの中に居て
先生の気が済むまで散々啼かされた。
渡『何か心境の変化でもあったん?』
「まぁ…」
渡『あ〜わかった!さては好きな人でもできたんやろ〜?♪』
なんて言いながら人の頬をツンツンと指で
突き、ヘラヘラ笑ってる顔を見てやっぱり
自分にはこの人の思考回路は理解できないと
思った。
別にあたし達は付き合ってた訳じゃないけど
こんな関係になった人物から終わりにしたい
なんて言われたら普通、少しくらいは
寂しそうな顔を浮かべてしまうものなのでは
ないだろうか。
渡『まぁ付き合ってた訳でもないし、彩がどうしてもやめたいって言うならやめてもええけど。』
でも、そんないつもと変わらない先生の
様子に正直安堵したのは言うまでもない。
逆にあたしは一体何を心配してたのだろう。
元々先生があたしの事なんか好きじゃない
なんてわかりきってたじゃないか。
この人からしたらこの関係がなくなっても
なんら問題ないのだ。
よかった、、これでやっとこの関係から
抜けられる。
なんて安堵したはずだったのに。
この後渡辺先生はあたしが予想もしなかった
言葉を口にした。
渡『でも、ただじゃやめられへんなぁ…』
「え、」
渡『そうや!じゃあ、誰か私の相手してくれる子紹介してくれへん?』
「っ、は?冗談やろ?」
渡『冗談な訳ないやん、本気や。だって今まで彩が慰めてくれたのにもう相手してくれへんのやろ?じゃあこれからどうしたらええの?私…ひとりになったらきっとあの人の事…殺してまう…』
渡辺先生はある男性と不倫している。
その人の事を本気で愛してる先生は、
妻と子供の所へ帰っていくその人の
後ろ姿を見る度に、自分の物にしたくて
殺してしまいたくなるらしい。
そんな恐ろしい感情を抑えたい時に先生は
あたしを呼ぶのだ。
それにしたって頭おかし過ぎる…
先生とこんな関係になると知りながら
一体誰を紹介しろって言うんだ、、
とんでも無い事を言い出した先生に戸惑って
いると、先生の口からまさかの名前が出た。
渡『あ、あの子がええわ!太田夢莉ちゃん!』
「えっ、」
渡『最近、仲良くしてるよな?私、あの子の顔めっちゃくちゃタイプやねん!夢莉ちゃんを紹介してくれたら解放してあげてもええで?』
その口調はとても明るい。
表情もいつもと変わらずニコニコしてる。
でも、
決して冗談ではなく本気で言ってるのが
嫌でも伝わってくる。
それにしてもどうして夢莉?
先生から夢莉の名前が出た時、
絶望にも似た感情が一気に押し寄せてきて
どうにかしなきゃと思った。
正直、先生は何をしでかすかわからない
から…
「あやかでええやんか。あやかは本気で先生の事が好きなんやで?もう不倫もやめて、あやかと付き合えばええやんか。アイツならきっと先生だけを一途に想ってくれる。わかるやろ?」
夢莉に手を出されるのは絶対困る。
どうにか避けなきゃいけない。
この時のあたしはそんな思いで一杯一杯
だった。
渡『確かにあやかは私の事好きそうやし、可愛いし、嫌いじゃないけど…そういう対象で見られへんねんなぁ』
「あたしとアイツの何が違うん?髪型以外の外見同じやのに」
渡『そうやなぁ、、外見というより中身なんかなぁ。あやかはいい子すぎるねん。それに比べて彩はめちゃくちゃ生意気やからそこが可愛いくて私好みなんやろな』
「…生意気で悪かったな」
渡『フフッ、だってセックス中に『お前なんて大嫌いだ』って言ってくるんやで?生意気やんw 』
「それはあたしの事好きでもないくせして『好きって言って』なんて言ってくるからや」
渡『あれは、、私の口癖なんかな…なんでかわからんけど言いたくなるねん。それにしても彩に想われる人が羨ましいわ…ちょっと妬いてまうな…』