* 長編 love triangle

□love triangle9
1ページ/4ページ


side yuuri



彩さんと別れてからひとりで家までの

道のりを自転車で走る。

むしっとした風を受けながら私は、

去年の出来事を思い出していた。

あれは忘れもしない、

去年の7月中旬頃の出来事だった。







木『太田さん。俺…ずっと太田さんの事が好きやってん!付き合って貰えんかな?』


 「っ、、でも木村くんゆきちゃんと付き合うてるやろ?」


同じクラスの木村くんから告白された。

校内で一番のイケメンともてはやされてる

男子だ。

でも、私の親友と付き合ってる人だった。


木『あれはさ、、ゆきがどうしても付き合ってって言うからとりあえず付き合っただけで本当は全然好きじゃないねん。もう別れるつもりやしw 』


全然好きじゃないって、、

じゃあ何で付き合ったの?

だいたい、まだ別れてもないくせに告白

してくるのもおかしいし…

どこかゆきちゃんをバカにしてるかのような

薄ら笑いを浮かべる顔を見て、

最低だと思った。

コイツの一体どこが良かったんだろう。

ゆきちゃんはこんな奴に心底惚れてるよう

だったから余計、腹が立った。


 「悪いけど友達の彼氏取るような趣味ないから。」

木『えっ、』


こんなのドラマとか漫画の中だけの話だと

思ってたのに。

本当に居るんだ…こんな男…

そんな現実を中学生という若さで知って

しまってお先真っ暗だ。

一気に最悪な気分になった私は一刻も早く

ここから立ち去りたくて木村君を置いて

教室の出入口へと向かった。


木『っ、ちょっ、待てよ!この俺が告白してやったのにまさか断るん?!』


この俺が?

一体何様なのコイツ、、


 「ありえへん。もっとゆきちゃんを大事にしなよ。じゃあね」


木『お、おい!ふざけんなっ!俺を振るなんて後悔しても知らで!絶対、許さんからな!!』


背後から沢山の罵声を浴びたけど気にせず

呼び出された空き教室をあとにした。

どうすればあんな自信過剰な人間に育つの

だろう…なんて呆れたけれど、この時の私は

完全にアイツの事を甘く見てた。

アイツは、私が考え付きもしない程の

もっともっと最低なクズ男だったのだ。



次の日学校に行くと、


 「おはよー」


シーン


あれ?


 「ゆきちゃん、まおちゃんおはよ!」


ゆ、ま『・・・・』


え?


ゆ『なんかさぁ〜どっかから声が聞こえるけど誰もいないよなぁ?』


ま『うん。誰もいないよぉ?』


何これ…冗談?


 「ちょっと二人とも!冗談やめてよw 」


ゆ『そういえばさぁ、太田夢莉って子おったやん?あの子、あたしに親友面しといて木村くんに告白したらしいわ。ほんまありえへんよな。』


 「…は?」


ま『人の彼氏取ろうとするなんてほんまありえへん!最っ低!』


 「ちょっと、何それ、、私そんな事してない!告白してきたのは木村くんの方や!」


ゆ『木村くんはあたしと付き合ってるんやで?なんでアンタに告白するん?!そんな訳ないやんか!この嘘つき!!』


 「なんで信じてくれへんの?!私たち親友やろ?私がゆきちゃんの彼氏取る訳ないやん!!」


ゆ『うるさいっ!!もう顔も見たないし口も利きたない!!アンタなんか絶交や!!』


そんな、、なんで?

どうして信じてくれないの?

そんな事してないのに…


 「、、」


シーンと静まり返る中ふと視線を感じて

廊下を見ると、木村くんが笑ってた。

そういう事か…

きっとアイツがゆきちゃんに嘘を吹き

込んだんだ…



その日以降、アイツの大嘘のせいで私は

友達がいなくなった。

クラスの女子全員から無視されるように

なったのだ。

どうしてこんな目に遭わなきゃいけないの…

誰とも話さず1日を学校で過ごすのは

まるで地獄のようだった。

それからすぐ夏休みに入ったから学校に

行かなくていい事に凄く安心した。

でもずっと誰とも遊ばず家で過ごしてるから

そんな私をお母さんは凄く心配していた。

何かあったのかと何度か聞かれたけど

何となく詳しい事は言えなくて、

友達と喧嘩したとだけ伝えていた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ