* 長編 キミだから好きなんだ【完】
□キミだから好きなんだ3
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塾から家まで自転車なら10分もかからずに
着く。
いつもなら真っ直ぐ家に帰るのだが、
その日はなんとなく公園に寄り道したく
なった。
誰もいない公園。
シーンと静まり返ったこの空間に自転車ごと
入り込んだ。
塾がない日は門限があって18時半までに
帰らないとママに怒られた。
今の時刻は20時半くらいで、こんな時間に
ひとりで公園に居ることがすごく悪い事を
しているようでなぜかドキドキした。
とりあえず自転車を置きブランコに乗る。
ゆらゆらしながら真上を見上げると、
夜空に浮かぶ真ん丸の月を私の視界は
いったり来たりしてる。
どのくらい時間は過ぎたかな…
もうそろそろここを出ようと思った時
だった。
『あれー、こんな所で可愛い子ひとりで何してるん?』
知らない男の人から声を掛けられた。