Short

□好きな人
1ページ/1ページ

理佐side



「愛佳〜、何見てるの」

「琳〜!今度のフェスのタイムテーブルだ よ〜、やばくない??」

「えっ!やばい!!!めっちゃみたいんだけど!!!」

「だよね!!みたいなぁ、予定合うかなぁ」

愛佳の隣に座り、スマホを覗き込んでるのは2つ年下の恋人の皆川琳。
高身長でスラッとしていて短髪で中性的な顔立ち、しっかりしてるけど笑った時や甘えてる時にでる妹感…いや、弟感…いわゆるギャップ萌えというやつゆえにメンバー人気も高く、女性ファンも多い。


「理佐」

「…」

「理佐〜?」

「何…由依。」

「ふふ笑、顔に拗ねてますって書いてあるよ笑」

「…そんなことない…」


理佐かわいい〜ってニヤニヤしながら私の隣に座ってきた由依。

「別に気にしてないし。だって愛佳だし。」

そうだよ、愛佳だし。なんかあるわけない。あの二人は兄弟って感じじゃん。何を気にしてるんだ私。

「理佐、難しい顔してる笑 素直になりなよ〜」

なんて、由依はニヤニヤしながら私に言う。

「ずーみんとうまくいってるからってからかわないで」




と口では言ってみたもののやっぱり好きな人の声は自然と耳に届くもので目で追ってしまう。


「愛佳〜、最近このバンドオススメなんだよね!」

「どれ〜?ほ〜、かっこいいね!」



でしょ!って愛佳に満面の笑みで話している。







「そんな顔するならいけばいいのに」


「……いけたらいってるよ。でも愛佳と楽しそうだし、私そんなにバンドに詳しくないし」


「ん〜、そんな気にすることないと思うよ。」



由依は呑気に言う。

やっぱりうまくいってる人は心の余裕が違うなと思いつつ自分の心の狭さが嫌になる。自由な琳は束縛なんて嫌いだろうし嫉妬してると知れば嫌いになるかもしれない。それが怖くて言い出せないままだ。
もっと年上らしくしたいのにと思いつつ収録にむかった。


収録が終わり楽屋に戻るとあかねんにつかまって何やら楽しそうに話している琳。その様子をみてまたモヤモヤしてきたからサッと着替えて楽屋をあとにした。








「やってしまった…」



寮に帰ってふと思った、いつも2人で帰っているのに何も言わずに帰ってしまったと。
きっと部屋にくるだろう、それか明日質問攻めされる。どちらのせよ今の私じゃうまい言い訳がみつけられないそう思ってた矢先部屋のインターフォンが鳴った。
案の定、扉を開けた先には琳がいた。



「理佐〜、なんで先帰ったの?」


「えっと…ごめん。」


「いや、いいんだけど。とりあえず中入っていい?」


「…うん。」


結局断る理由もみつけられず部屋の中にいれ、いつものように琳はベットに腰かける。その隣に私も座った。




「もしかして体調悪かった?大丈夫?」



「…っ、いや、大丈夫…。」


「そう?でも収録前から様子変にみえたけどなぁ…」



なんて困った顔して顔を覗き込まれて焦った。心臓に悪い。
収録前ということはあの時から既に気づかれていたのか、愛佳と話してたと思ってたのに。



もう全部言ってしまった方が楽なんじゃないかと思い玲の肩に寄りかかる。



「ん?どうしたの?」



「…」



「おーい、理佐〜?」



「……愛佳と距離近すぎだし…。」



「へ?」



「……話すなら私と話してよ…」



間抜けな声が聞こえたと思ったら今は嬉しそうな笑い声が聞こえる。恥ずかしくなって琳の服の裾を握った。




「理佐」


「…っ、ちょっと…」


「可愛すぎ」


優しい声で呼ばれ顔をあげたらキスをされた。そしてギューッと抱きしめられる。



「理佐、それってやきもち?」


「…だったら何。」


「いやぁ、かわいいなぁ。嬉しいなぁって思って。」


なんて、私の大好きな笑顔でそんなこと言われたらさっきまで悩んでたことがどうでもよくなった。やっぱり好きな人ってすごいな。これからもずっと好きなんだろうなって思い知らされた。











「あ、でも私も妬くんだからね〜」

「え、嘘」

「ほんとだよ〜、おぜと仲良すぎ〜」

「…でもこの間何も言わなかったじゃん。」

「そりゃあ、年下って思われたくないし」

「ふふっ…かわいい…」

「はいはい、笑わないの〜。理佐のほうがかわいいから」

「……うるさい…。」


END


次の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ