リクエスト小説
□ヒーローは悪役になりたい〜後編〜
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すぐにゼールを部屋へと運び、ベッドの上へ体を寝かせる。
ゼールは悟空の口づけを受けた後、すぐに眠りへと入ってしまった。
眠りに入ると、悟空の頭の中を読むことはできなくなる。
「あ、愛してるって、聞きそびれた」
(ま、いっか)
悟空はゼールの部屋を出ると、静かに扉を閉めた。
「・・・貴様、朝はゼールに気を送ったから変だとは思っていたが、まさか帰りに奪うとは」
それを見ながら廊下で待ち構えていたベジータは、悟空を睨む。
「しかも必要以上に気を抜いたな。ゼールの回復がやけに遅い理由が分かったぞ」
「なぁ。おめぇの部屋で話さねぇか?」
「貴様っ!」
「ゼールが側にいるんだぞ?」
「・・・っ!」
目を細め笑う悟空に、ベジータは苛立ちを隠せなかった。
悟空の提案通り、2人はベジータの部屋へ。
扉を閉めたと同時にベジータは悟空の胸ぐらを掴み、奥の壁へと背中を打ちつけた。
「いい加減にしろ!貴様が何がしたいのか全く分からん!」
「おめぇもここに残りたかったんだろ?」
その様子に動揺することなく、悟空は笑顔のまま答える。
「貴様を残したまま帰れるか!」
「待ってるやつがいるんじゃねぇのか?」
「それは貴様も同じだろう!」
(待ってる女がいるのに、性処理する俺がそんなに必要なんか?修行相手だからか?)
「・・・俺、もう疲れたんだ」
(もう、何も考えたくねぇ)
「誰かを守ることも何かを守ることも、全部疲れちまったんだ。おめぇも分かるだろ?支配する楽しさが」
「なんだと?」
「全部を俺の思い通りにしてぇ。だからおめぇも俺の思い通りにする」
「何を、んぐっ!?////」
悟空はベジータの手を振り払い、押し付けるように唇を重ねた。
「んっ・・・はっ・・・!////」
口の隙間から舌を絡ませる。
(このっ!////)
「ぷはっ!わっ、わっ、わっ!」
ぼすんっ!
ベジータは悟空から無理矢理口を離すと、ベッドへ押し倒した。
「何がしたい、貴様////」
「ベジータとエッ」
「言うな!////」
「・・・なんだよ」
口を尖らせる悟空。
(なんだじゃないだろう。何なんだ。ゼールと貴様はそうゆう関係なんだろうが。なぜゼールとはせずに俺とするんだ)
「すげぇ、ベジータって頭ん中じゃこんなに喋るんだな」
「っ、貴様!」
「何でおめぇをここに残したと思う?ベジータ」
「・・・なぜだ」
(あの女のとこなんて帰さねぇ。それに)
「俺の性欲処理をしてもらうためだ」
「な、んだと?」
「ゼールには欲がねぇんだ。食べ物も食べなくていいし眠らなくても平気だ。ヤりてぇって思わねぇのも分かるだろ?」
今は回復のためと言って悟空が眠らせているが、それは悟空の思い通りになっただけ。
実際は眠る必要はない。
「ゼールとヤっても物足りねぇんだよ。ベジータなら、俺を満足させてくれるだろ?」
「・・・っ////」
(くそっ!ここでカカロットの挑発に乗ったら負けだ////)
「別に負けとかねぇんだけど」
「勝手に俺の頭の中を読むな!」
ベジータは悟空から退き、乱れた服を整えた。
「自分の部屋に戻れ。貴様とヤる気などない」
「・・・・・・」
ベッドに座っている悟空には目を向けないようにして扉を開ける。
「ベジータ・・・」
「戻れ!」
「・・・・・・」
悟空は下を向き、ゆっくりとベジータの横を通り過ぎた。
部屋から出た瞬間、バタンッ!と扉を閉められる。
「むぅ!ベジータのばぁか!」
「・・・チッ!」
扉の向こうで悟空の声を聞き届け、ベジータは大きな舌打ちをした。