リクエスト小説
□短編1 バンビーニの実
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@小さくなった
「この馬鹿がぁあああ!!!」
破壊神ビルスの声がその星に響き渡った。
正座をさせられている悟空と仁王立ちのビルス。
その隣にはニコニコ笑っているウイスがいた。
「僕が言ったこと覚えているか?」
「・・・机の上にある果物は食べちゃだめ」
「なぜだと言った?」
「ビルス様が飾るから」
「もう1つは」
「食べたら死んじまうかもしれねぇから」
「そうだ!命の危機があると言ったのになんでお前は食べたんだ!死にたいのか!?また死にたいのか!?まだ死に足りないのか!?」
「でも死ななかったじゃねぇか」
「当然だ!お前が食べないようにそう言っただけだからな!僕の優しさをなんだと思ってるんだ!」
「食べるなって言われたら食べたくなるもん」
「どうせお前は何も言わなくても食べてもいいと言っても食っただろう!」
「むうぅ」
「まぁまぁ、ビルス様。こ〜んな小さい子ども相手にみっともないですよ」
「あっ」
「おいウイス!」
「おっかない猫さんですねぇ」
ウイスは悟空の体をひょいっと持ち上げ、彼の頬をムニムニと触りだした。
「こ〜んなに可愛い子を怒鳴るなんて、ビルス様も大人気ないですよ。ねー」
「ねー」
「ねー、じゃない!そいつは大人だ、ウイス!今はバンビーニの実を食べて子どもの姿になっているだけだ!」
遡ること数分前。
ビルスに
「絶対食べるな、死ぬぞ。いいか、絶対にだ。死にたいならいいが、いややっぱり良くない。絶対に食うなよ」
と言われた果物を一口だけ食べた悟空は、体が縮み3歳児サイズになってしまったのだ。
「そもそもなぜバンビーニの実を机の上に置いておいたのですか?悟空さんが食べてしまうと予想していたのに」
「っ、僕だって忙しいんだ。とりあえずそこに置いておいただけだ」
「本当は悟空さんの子どもの頃の姿を見たかったんじゃありませんか?」
「ぐ・・・」
「それなのに自分のことは棚に上げて、悟空さんばかり責めるなんて。ほ〜んと、だめな猫さんですねー」
「ねー」
「うるさいうるさい!!!とりあえず寄越せ!悟空の体がどうもなっていないか見る!」
「どうもなってないかも何も、小さくなってるじゃないですか」
「違う!その、何だ、いいから寄越せ!」
「あらま」
ビルスは無理矢理ウイスから悟空を取り上げた。
「怪我はないな。痛いところはあるか?」
「うん、ない」
「くぅ・・・!この上目遣い・・・!」
「かわいいですねぇ」
「声も高い・・・!」
「私たちの知らない悟空さんですよね」
「尻尾もある・・・!」
「素敵ですねぇ」
「うるさいぞ、ウイス!」
「ビルス様、声大きいぞ」
「す、すまん」
うるさそうに耳を塞ぐ悟空にビルスはたじろぐ。
「悟空さん、ビルス様より私の方が抱っこの心地がよかったでしょ?こっちに来ませんか?」
「だ!ダメだ。まだ僕が抱っこするんだ」
「おらウイスさんがいいー!」
「なんだと、悟空!」
「ほ〜ら、いらっしゃ〜い!」
「ダメだ!お前はずっと抱っこしてただろう!」
ギャーギャーと騒ぎになったところで、ようやくそれまで気にしていなかったベジータが登場。
「何を騒いでいる。どうせまたカカロットが怒らせるようなことをしたんだろうが」
「あ、べじーた!」
「カカ、ロット?」
「あ、悟空!」
悟空はビルスの腕から抜け出し、ふよよ〜と不安定な舞空術でベジータの元へいく。
「お、おい!」
「わっ、と、と」
ぽすんっ、とベジータの広げた腕の中に埋まった。
「へへへ、慣れてねぇから難しいな」
「貴様、カカロットか?」
「ああ。ビルス様にだめって言われてたんだけどバンバンの実?てやつ食べちまって」
苦笑いする悟空に、ビルスもフンッと鼻を鳴らす。
「バンビーニの実だ。食べたら体が小さくなる」
「戻るのか」
「だんだん体が大きくなってきますよ。そうですね、悟空さんの今の大きさだ1週間くらいですかね」
「ふむ・・・」
「・・・ん?」
ベジータはあることを思いついたように、悟空を見てニッと口端を上げた。