リクエスト小説
□短編4 子無気粉
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@子無気粉
「カカロット!」
「ベジータ、きた」
「ベジータさん・・・」
ここは神殿。
体が小さくなったベジータが血相を変えてきた。
「カカロットはここにいるはずだ!貴様らがピッコロの仲間なのは知っているが、これは許せん!」
デンデとポポの体に痺れが走る。
事は数時間前。
「ベジータ、お前、どうして今まで悟空を恋人にしなかった」
「なに?」
神殿で、ピッコロはベジータに背を向けながら言った。
ベジータと悟空は言わばセックスフレンド。
つい先日、恋人になったばかりだった。
だが、ピッコロはそれを認めていない様子だ。
「悟空の気持ちに気付いていなかったのか?それとも、今の今までただの性浴の吐口としか見てなかったか?」
「・・・・・・」
何も答えられないベジータに、口をギュッと閉じる悟空。
「悟空の気持ちに気付いたからそれに応えただけか。それとも、今になって情が湧いたか」
「ピッコロ、おめぇもいい加減にしろ」
「お前はなんとも思わないのか。セルとの戦いが始まる前から続いていたんだぞ」
「それは・・・」
悟空はチラッとベジータを見て、またすぐ目を逸らした。
「俺はな、悟空がお前と恋人になっても幸せになどなれないと思っている」
ピッコロが自分の胴着の中に手を入れる。
「破壊神が来た時も、お前がいなければ俺が悟空を受け止められていた。俺が同じ種族であれば、悟空の助けにもなれたはずだ」
「さっきから何を言っている」
「お前に悟空を任せることはできん」
ぶわっ!!!
「なっ!?」
「ピッコロ?!」
ピッコロの手から白い粉が撒かれた。
その瞬間、ベジータと悟空は身動きが取れなくなり、体が小さくなった。
「なんだ・・・これは・・・!」
「ケホッ!ベジータ、っ!」
白い粉が消えた後には、既にピッコロと悟空の姿はなかった。
「なんなんだ!くそったれが!」
小さくなったベジータはカプセル・コーポレーションへ戻り、お得意のブルマの発明で服を着替える。
「どうしたのよ!」
「説明してる暇などない!」
そしてまた神殿へと向ったのだ。
「なんなのよ、もう・・・」
そして現在に至る。
「貴様ら!ピッコロはどこにいる!?」
「ベジータ、落ち着け」
「そうですよ!落ち着いてください!」
「これが落ち着かずにいられるか!」
ベジータは相当怒っているらしく、気を上げて目や髪を赤くした。
「まずあの粉はなんだったんだ!?」
「あれはですね、子無気粉(こむきこ)といって、無邪気な子ども時代に戻ってしまう粉なんです」
「なぜそんなことをしたんだ!」
「ベ、ベジータさん!スーパーサイヤ人ゴッドはやめてください!ピッコロさんにもちゃんと訳があって!」
「神様!それ言ったらダメ!」
「あ・・・」
「なんだと?」
ベジータはスーパーサイヤ人ゴッドを解き、デンデの胸ぐらを掴んだ。
「ひいぃ・・・」
「どういう訳か話してもらおう。え?神様よ」
「じ、実は・・・」
「ベジータと悟空が恋人になっただと?!ありえん!あのベジータが悟空を!」
「ピッコロさん、めでたいことなんですから、そんなに大きな声を上げないでください」
「ピッコロ、それ、嫉妬」
「嫉妬では!・・・あるが、そんなものだけではない!なぜなら、あのベジータだぞ!?あのベジータの恋人など!」
「よっぽど心配なんですね〜」
「当たり前だ!これが心配せずにいられるか!」
「何がそんなに心配なの?」
「まず、ベジータは悟空より弱いだろうから守れんだろう!そしてあの性格だ!悟空がおもちゃになりかねん!今までだって・・・っ!?」
ピッコロは途中で声の主に気づき、後退りをした。
「こ、これは、失礼しました。お二人だと気づかず」
「いや、いい。その問題、僕たちが解決してやろう。ただ君にも協力してもらうよ」
「はぁ・・・」
「と、いうことでして」
「子どもにした理由は」
「それは僕にも」
「チッ。問題を解決するとはどういう意味だ」
「ビルス様なら悟空さんよりお強いですし、ベジータさんより、その、大切に、できるから、と」
「つい最近あんなにボコボコにしたくせにか」
「ベジータ、人のこと言えない」
「うるさい・・・それで、俺はどこに行けばいい」
「こちらです」
声の主はウイスだった。
「あら、素敵なお姿で」
「どうせ貴様らの仕業だろうが」
「何か言いましたか?」
「いえ、何も!」
「では行きましょう!」