その他いろいろ

□Step by Step
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「ねぇ、私の絵本読んでくれた?」

隣でビールのグラスを傾けていた理々子に、ユウジが唐突に話題を振る。

久しぶりにライムライトへ飲みにきた2人。端から見れば恋人同士に見えるかもしれないが、相手はユウジ。

―いまいち雰囲気に欠けるんだよなぁ…

そんなことを考えて、理々子は軽く溜息をついた。

「うん。読ませてもらったよ。絵本としては特殊な内容だったけど、イヴォンヌの魂が狼になってボリスとか昔の仲間に会えたラスト、好きよ」

「ホント!?嬉しいわ!もうお店にも並んでるのよ」

理々子の言葉に、ユウジは本当に嬉しそうに目を輝かせる。

「次回作も、期待してるわ」

「うん!ありがとう」

「ユウジ……私ね、休暇もらってもいいかな?」

理々子は、思い切ってユウジに本題を切り出した。
今日彼を飲みに誘ったのも、この話をしたかったから。

「え?」

「…所長と草薙…2人と一緒に行くって約束した場所に行きたいの」

「理々子………止めないけど……行くなら…ちゃんと戻ってくるって、それだけは約束して」

さっきまでの表情とは一転、真剣な目で理々子を見つめるユウジ。

「やだ、大丈夫だよ。後追いしたりしないわ。草薙が、嘘をついてまで私のこと助けてくれたんだもの」

「そうよね、ゴメン。なんか心配になっちゃって」

「ありがと、ユウジ。……父さんだって、小夜ちゃんをよこしてくれたしね」

「小夜ちゃん?」

「あ、ううん。なんでもないの。ねぇ、2週間くらい留守にしてもいい?」

「了解!その間、事務所は私達に任せといて!真弓も坂本君もいてくれるし、やれるだけのことはするから」

「うん。ありがと」

―ふっ切る為にも、忘れない為にも、ひとりでも約束の場所に行こう

理々子はそっと、草薙の形見の指輪にキスをした。



End

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