□飽和2
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「殺したのは隣の…………いつも私をいじめてきたあいつなんだけど」


その「あいつ」に心当たりがある。
彼女に何かと突っかかってくる奴だ。彼女はいつもいつも迷惑げにしてたっけ。
そうか、あいつ死んだのか。


「もう嫌になって、肩を突き飛ばしたんだ。…………打ち所が、悪かった。」


俯いて拳を震わせながら、彼女はゆっくりと吐露した。
一体どこで殺めたのだろう。死体はどこにあるのか。勿体ない、どうせ土に還るか燃えて灰になるのなら俺が解体してやるのに。


「もう死武専にもここにもいられないと思うし、どこか遠い所で死んでくるよ」
「えっ」


淡々と紡がれた言葉に、俺は思わず素っ頓狂な声を上げる。


「………遠い所って」
「遠い所は、遠い所よ。誰もいない所。」


普段の利行で真面目な彼女とは違う、如何にも焦って考えた様な、馬鹿みたいな言葉。
あまりにもくだらなくて、あまりにも彼女らしくなくて、


「それじゃあ、俺も連れて行ってよ」


何を考えているのか、無性に知りたくなった。
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