□飽和2
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「えっ何で?シュタインは何もしてないでしょ?死にに行く必要なんてないじゃん」
「俺は毎日毎日適当にバラしてるから何もしてないとは言えない。……いいじゃない、君に興味が湧いたんだ。 」
「興味って…」
「もしも君が未練がましく死武専に戻りたいとか言い出した時にはしっかり殺してからバラしてやるよ」

でも、だとかそんな、だとか未だに零す彼女を横目に、俺は手持ちの中で一番大きい鞄を引っ張り出す。


「待ってて。早くしないとスピリットが帰ってくる。見つかったら面倒な事になるよ」


手当り次第に物を放り込んでいく俺の横で、彼女は荷物でぱんぱんになった鞄のファスナーを開ける。
その中に、彼女には似つかわしくない携帯ゲーム機を見つけた。


「ねえ、それいらないんじゃない? 」
「それ?…………ああ、これね。持ってたのを思い出したの。暇な時に必要かもよ?一応、ね。」


それがひとつあるだけでそれなりに鞄を圧迫しているんじゃないかとも思わなくもなかったが、彼女も混乱の中必死に荷造りをしたのだろう。
何が必要で何が不必要なのか、分からないまま。
完璧とは程遠いそれに、思わず口角が上がった。彼女も人間だったんだなあ。


「……なに?」
「いや、君も案外人間だったんだなって」
「なにそれ……」


財布と折りたたみのナイフを放り込む。
思ってみれば必要なものなんてあまりなかった。あまりにも大きな鞄を取り出したあたり俺も混乱しているのかもしれない。
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