8年前の節、庁舎前にて

□Cafe イン trouble
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「「「お誕生日おめでとう!」」」

まだ、肩で息をしている私に店の人も含めクラッカーを鳴らしてくれた。それもわざわざ松田や萩原に関しては私に向けてクラッカーを打ったので臭い煙の匂いとともに紙吹雪が私の髪にかかる。
私はその2人に向かって黒い笑みを浮かべてやった所、2人は私から目をそらした。

さて何を食べようか。5人のおごりだと言うので出来るだけ普段は食べない値段の料理を頼もうと心に誓ってメニューを眺める。



楽しい時間というものは、すぐに過ぎるようで料理も届いて酒も入って午後九時頃。もうそろそろ二次会に行こうか、という時だった。

「あれ、神立ちゃんじゃない!」

聞きたくなかった声の方を見れば公安の女の上司だった。彼女は友達と来ているようで、お金を払って今にも帰ろうとしているところだった。
「きゃ!零ちゃんも」などと女の子っぽい声を出しながら近寄ってくる彼女に我が上司ながら固まってしまう。
そうだ、思い出した。8年前の誕生日は少し面倒な女の上司に絡まれトラブルになるんだった。
もう二回目だしトラブルにならないよう危機管理をきちんとしよう。

「神立ちゃんいいなぁ!ねぇ、私達も入れてよ!」

「あ、先輩。もう私たちお開きで……。ね?」

そう言って私は降谷たちに確認する。空気を読んでくれたのか、5人とも相槌を打ってくれた。
そう。この前は一緒に飲むことになってトラブルが発生した。ならば一緒に飲まなけりゃいいんだ。私は天才か。
私は心の中で自画自賛をしていると

「なんなのよ。上司が誘ってるんだから一緒に飲むくらいいいじゃない」

あまりにもきつく何度も言われたので、一緒に行くしかなかった。上司と一緒に飲みに来ていた友達は帰ってしまう。
上司に何かと絡まれている降谷を横目に

「あいつも大変だな」

「なに、緑川もああされたいの?」

と緑川をからかうと「違うよバカ」と肩に腕を回される。
「おい、抜け駆けだぞ」と、後ろで叫ぶ萩原と涼しい顔でタバコを吸っている松田は後ろからトボトボと付いてきていた。

もしかしたらどう足掻いても過去は変えられないのかもしれない、と内心少し怖くなった。


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