花鳥風月
□花のように
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「絵留っていいよね、あんなカッコイイ副隊長のお兄さんがいて」
私の隣でそうねむそうに呟いたのは友達の花奈だった。黒髪の少し長めの髪を綺麗に一つにまとめ、パチッとした目は可愛い。そんな彼女は普通に男子からモテそうな気がするが、男前すぎるところが仇となって思い悩んでいるらしい。
「へ?兄って言っても義兄妹やで?気は使わなあかんし、疲れるだけ」
はぁ、とわざとらしく私はため息をつく。私は何故か京都弁なのだ。多分前世の出身が京都だったんだと思う。一切、あのキツネづらの男の子の喋り方を真似している訳では無いのだ。
「義兄妹って言ってもさ、絵留の髪は茶色だし、美人だし、いかにも兄妹って感じじゃん。絶対仲良さそう」
「ちょっと。お世辞はやめてや」
そうニンマリと笑いなが、話す花奈はまるで恋する乙女のようだった。そんなにあのメガネ男がいいのか?などと思いながらも花奈の話に耳を傾ける。確かに、常にニコニコしているし、優しいし、完璧と言ったら完璧だと思う。
ただ、ひとつ疑問なのが、なぜそんな完璧な男が私なんかを拾ったかということ。それもわざわざ流魂街に来てまで。
あのニコニコした笑顔の裏に、何かを企んでいそうで怖くなる時があるが私を拾ってくれたことは彼の善意だと無理やり思っておくことにした。
仮に花奈の言う、本当に藍染惣右介と私が本当の兄妹だったとして、年齢差がありすぎる気もする。私は人間で言う9歳……10歳ぐらいの容姿。精神年齢的にはおばさんレベルだとは自負している。
「もうそろそろ次の講義やし、準備準備。もうこの話は終わりや」
パンパンと手を叩きこの話を祓うように話を終わらせた私に花奈は不満たらたらの顔で見てくる。
この学校での授業は義兄の手助けもあって、常にトップに君臨することができている。義兄のメガネ男は私に早くこの学校を卒業してほしいのだそう。そんな事言われても私には関係ない、と思っていたが一応無償で育てて頂いてるわけだしそんな事ぐらいは言うこと聞こうと思った。