花鳥風月

□さえずり
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私があの大きなお屋敷へ忍び込んだ約1年後くらいのこと。
あそこにいた男の子は六番隊の隊長さんのお孫さん、朽木白哉というらしい。愛称も込めて、びゃくちゃんと呼んでいるが、すごく嫌がられてしまう。
たまに、というよりよく遊びに行っている。そこで、四楓院夜一さんという二番隊隊長である方とも出会った。


「最近、学校はどうですか?」

「……あ、はい。充実?してます」

相変わらずニコニコしてその日その日のことを聞いてくるメガネ男にいつものように「充実してます、」とばかり答える。
メガネを外した方がイケメンだろうなぁ、と少し心の中で思う。

「君はいつもそう言いますね……」

多分呆れているんだろう。特に関係もしない学校の話を延々と聞かされても退屈なだけだろう、と私なりの配慮なのだ。でも、私は目の前の藍染惣右介という男ではないから彼の気持ちはわからない。
別に、関係の無い私の学校での話を聞きたいというのならば延々と聞かしてあげてもいいとは思う。

「今日は絵留に大切なお話があります」

雰囲気はいつもと同じだがどこか焦っているようにも聞こえるその言葉に私は首をかしげながらも耳を傾ける。

「明日、卒業試験を受け、護廷十三隊の中に入ってもらおうと考えているのですが」

「へ?」

急すぎる事態に私は焦る。確かに前から教師達には早く試験を受けろとかなんとか言われ続けていたが、友達の花奈がまだいるのでなかなか踏み切れずにいた。ここで卒業したら、ギンよりも早く卒業できるだの異例の天才児だの教師陣は騒いでいた。
結局、私はその時に卒業せずとどまり続けたので彼らの期待を裏切ってしまった。
言っておくが私は天才児でも何でもないのだ。かれもこれも全て過保護気味な私の義兄とおかげ。それにびゃくちゃんという私よりも天才な子がいる。

「学校側に頼まれたのですか?」

「それもありますが、これからは私の手と足となって働いてもらおうと思いまして」

そう優しくふわりと微笑む義兄に少しゾッとしながらも渋々受け入れた。びゃくちゃんには手紙を書いておこう。これでお別れだと。いや、普通に隊員となっても遊びに行けばいいんだ。
でもやっぱり一応、花奈やびゃくちゃんに手紙を書いて渡しといてもらおうと思う。

義兄と話終わり、自分の部屋へと足を向かわせる。
とりあえず、二通の手紙を書いてそれぞれの元へと渡してもらえるよう、周りの人へと頼んだ。
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