花鳥風月
□杏仁豆腐
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「へえ、明日絵留も学校、卒業するんか」
「護廷十三隊来たら、五番隊に入ってや」と言って笑う黄色頭に私は苦笑いする。皆 五番隊、五番隊って言うけれど、私はひいきとか言われたら嫌なんだけども。
応接室で今、杏仁豆腐をいただくところが、義兄はあれやこれやとお茶をいれたりお皿を配ったりとせっせと働いている。
本当は私がしなければいけないことなんだろうが、私が義兄に信用されていないのか1回もそういう事をやらして貰ったことがない。
お手伝いさんいわく、義兄は私には甘すぎるらしい。ぼやいている所を偶然聞いてしまった。
「ところで、さっきから思っていたのですが何故、平子隊長は私の名前を知ってはるんです?」
私がそう尋ねると平子隊長はニヤリと笑う。その傍ら、義兄の焦る姿が目に映った。
「君のお兄さん、仕事中も君の話ばっかしてんねん。耳にタコができr……」
「ちょっと、平子隊長。その話は言わないって約束しましたよね?」
平子隊長の言葉を義兄は件名に遮っていたけど、重要なところはすべて聞いてしまったので遅い。
でも、義兄が私のことを外部の人に話してるとは意外だった。少し嬉しくも思う。
「まぁ、それだけ君は愛されてるっちゅうことや」
ポンポンと軽く私の頭に手を置く黄色頭に私は照れながらも笑いかけた。
でも、確かに兄がいるなんて現世にいた頃も兄妹はいなかったし、私的にも嬉しいことなのかもしれない。
私もびゃくちゃんに義兄の話ばかりして呆れられたことがあった。
義兄の方をちらりと見ると相変わらずニコニコとしたままだった。
「そういや、絵留ちゃんも関西弁やねんな。仲間や」
「え、仲間じゃないです」
馴れ馴れしくそう話しかけてくる黄色頭に私は少し冷たく言い返した。あっちは大阪弁、私のは京都弁なのだ。
間違ってもらっちゃ、困る。
「平子隊長は大阪弁でしょ?私は京都弁。一緒にせんといてください」
すまし顔でそう言うと黄色頭は一瞬ぽかんとしたがガハハハと笑い出した。
なんだ、気味悪い。
「それ、五番隊の違う子にも言われたわ」
多分その違う子とは、ギンのことを指すのかなぁと考える。以外と黄色頭とギンって仲良さそうだと勝手に考える。
「って事は、惣右介も京都弁……?」
キョロキョロとしながら黄色頭は私の義兄を指さした。確かに、義兄はいつも敬語だから何弁かは分からない。
残念ながら、義兄は標準語。
私は指を指すのは失礼だと黄色頭を睨みつけた。