欅坂短編

□お酒の匂い
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上村side


疲れた…。今日は地方仕事で泊まってるんだけど、私だけ仕事が残っちゃって、1人でずっと撮影していた。



ほんとに疲れた。今日はもう早くシャワー浴びて早く寝よう、そう思いながら扉を開けた。



ガチャ



「……?」


今回は尾関と同室で、いつもだったらうるさいくらい声が聞こえるはずなのに、全く聞こえない。




寝ちゃったかな?




少し寂しくなりながら寝室へ向かう。すると尾関がベッドの上で座っていた。



「尾関、起きてたの?」



「うん、莉菜のこと待ってた。」



「そうなの?ごめんね待たせて」



「大丈夫だよ。」



そう言ってにへーっと笑う尾関。
なんかいつもと雰囲気が違う気がする、、



「じゃあ私シャワー浴びてくるね」



お風呂に入ろうと立ち上がると、尾関に腕を掴まれた。



「な、何?」



「私も一緒に入る。」



「……は?え、えぇ一緒に入る!?なんで、尾関まだ入ってないの!?」



「入ったけど、、駄目?」



「だめだよ!!」



「じゃあさ、ちゅーしていい?」




「え、えぇ!?だめだよっ!わっ」






そのままベッドに押し倒される。
どした、今日の尾関絶対おかしい。




そうこう考えているうちに尾関の顔が近づいてくる。





……




って、お酒くさっ!!



「尾関、お酒飲んだ…?」



「あぁ、うん。ほんの少し」




だけどテーブルに目をやると、ビール缶が4本ほど転がっていた。






全然ほんの少しじゃないじゃん!






酔ってる尾関を押し返そうとするが、酔っ払いのくせに力は強い。抵抗できないと知って、深く目をつぶった。











ちゅっ









たった一瞬、たった一瞬だったけど触れた唇の感触は残っていて。
一気に口の中にお酒の味が広がった。








…私、尾関とキス、しちゃった。









ーーーー!//////



え!?私と尾関が、キス!?ナニコレ?夢?夢なの?
何が起こったのか理解できなくて、尾関の方に目をやると。








ぐーーぐーー







ね、寝てる!?寝てるだと?この状況でぇ!?
ほんとに、なんなんだこいつは。
勝手にお酒飲んで、人の唇奪っといて!





「………」




全く起きる気配がないので、
試しに頭を撫でてみる。お酒を飲んだからか尾関の身体が熱い。




!?




寝ぼけてなんかと間違えているのか、尾関に抱きしめられた。





「熱っ…」






結構お酒くさいけど、尾関の匂いもほのかにしてなんだか心地がいい。




まだ何もしていないのに、これだけで今日の疲れが全て取れた気がした。




たまにはこんな日もありだろう。





そんな風に適当に頭の中で今日の出来事を片付けて、今日はこのまま尾関の腕の中で寝る事にした。
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