Re**** ars

□Re**** ars
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−桜、もうすぐ散っちゃうな

公園の並木を見ながら家から店へと歩く
時折ふっと吹く風が桜吹雪になる


「きれいなピンク色」


手にうまく乗った花びらを見て思わずひとりごと
立ち止まってもう一度ピンクの花たちを見上げる

でもやっぱり、選ぶとしたらこれよりも
葉っぱの緑.........かな。


それよりも好きなのはどこまでも広がる空の青


ひとつ背伸びをしてまた歩き出す



駅に近づいて気づく
いつもと違う賑わいを見せる地元の駅


みんなウキウキ顔で歩いてる
その先には、ドームがある。



−あ、今日なんかイベントの日だっけ
みんなうちわ、持ってるしコンサートかな?
すっかり忘れてた.....

いつもと変わらぬ仕入れをしてしまった事に焦る

「ま、いっか」

言い聞かせるようにつぶやいた


お店に着いて、いつも通りシャッターをあげる
昨日と変わらぬ店内
いつもの光景

わたしのお店
駅から歩いて3分、2階建ての小さなバル



オープンして3年目
常連のお客さんもいて、それなりに忙しくさせてもらってる

わたしの小さなお城

買い出ししてきた食材をカウンターに並べる
買う時にそれなりにメニューを想像はしてるけど、ここでもう1回頭の整理


−今日も夜はちょっと冷えるかな



うん、あったかいものもあった方がいいよね


今日のおすすめを書き出す




「うぃーす」
やってきたのは大吾

「おはよ」

大吾はうちのお手伝いをしてくれてる
自称イケメン(笑)のホール担当
大吾目当てに来る女の子もいるから、あながち間違ってはないんだけどね


小中と同じの地元の子 3つ下の29歳
たまたま店に来てくれて、懐かしいねって盛り上がって、そこから仕事終わりにちょくちょく手伝ってくれる
いつもはゆるゆるだけど、
こうやってドームでイベントのある日はほんとに大助かり。


サロンを巻きながら、
「うわっ今日のアジ大きいね!何になんの?」なんてメニューに興味津々

仕事熱心?いえいえ
自分のまかないを決めるのに下調べ中なだけ



オープンしてから20時くらいまではいつもの感じ
カウンターに2人 大吾の同級生 賢と祐 週に2,3度は来てくれる常連さん

テーブルにカップル


21時前........コンサート終わりの女の子ラッシュ
カウンターの賢と祐が目を輝かせる
「可愛い子いないかなー」

大吾「お前らなあ……好きだねー」

そういう大吾も、サーブする度
「お兄さんおいくつですか?」
「すごい男前っ!」
なんて言われてニヤニヤしてません?(笑)


ねえ大吾、賢と祐がすごい顔で見てますよ


一通りのオーダーをこなして見回すと、
お店の中はいつもと違ってパステルカラーみたい
ふわふわ、ひらひらのお洋服に包まれた女の子達
大好きなアイドルを見てきて、
目がハートって言う言葉が嘘じゃないみたい。
キャッキャと聞こえる話し声


−かわいいなぁ……

素直にそう思った

大吾「いや、おっさんか」

あれ?心の声聞こえてた?

「えっ、わたしなんか言った??」

大吾「いやいや、どんな目で女の子見てんのよ」

あ、そゆこと……

「いやぁ、かわいいなーと思ってさ……

大吾「何言ってんの。俺はああいうキャッキャしたのより、落ち着いてる人が好きだけどね。人それぞれでしょ」

最後に「ねっ?」て言ったその目線に、一瞬金縛りにあったみたいに動けなくて

カウンターに背を向けると急いでグラスを洗った
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