hpmi 5 短編*シリーズ

□ノバスシリーズ
1ページ/8ページ



とあるコンビニの前、男子2人と女子1人で向かい合っている。それぞれがお腹の前で拳を握り、一斉に掛け声を上げた。


「「『男気ジャンケン!』」」
じゃんけん!グー!あいこで!
「チョキ!」「パー!」『チョキ!』

一郎がパー、私と空却がチョキをだした。
「くっそぉ…!」
『は、私の勝ちー、』
「ヒャハ、俺と凪の勝ちだな!」

悔しがっているが一郎の頬は若干ピクついてニヤけないように耐えている。対して私と空却は喜びながらもお互いの表情を伺う。その目には次こそは負けなければと闘志を燃やしている。もう一度、私と空却が掛け声に合わせて手をだした。


「『男気ジャンケン!』」
ジャンケン
「パー」『チョキ』
『っ、』
「よっしゃあ!」
「『あ』」
「、あ。」


私が勝ち、悔しさを前に出さないよう我慢していたが負けた空却が喜んだ。
私と一郎が声を漏らすと空却も自分の失態に気付いた模様。

男気ジャンケンとは、ジャンケンに勝って奢るのは喜ばしいことであるという男気溢れたゲーム。負けた人が正味勝ちであり逆に勝った人が負けのジャンケンで、負け上がりなのである。普通のジャンケンの通り、負けたら悔しがらないといけなくて喜ぶとアウト、逆もしかり勝ったら喜ぶべきで悔しがってしまったらその時点で男気がないということで逆転のルールだ。中抜けの際にも勝って悔しがった時点でその人が即アウトでもある。

まぁとどのつまり、これで空却の敗けである。

『ごちでーす!私メロンパンとミルクティー!』
「俺コーラと焼きそばパン」
「っだー!拙僧としたことが…!テメェら待ってやがれ!」

ガシガシと空却が頭をかきながらコンビニに入っていく。一郎と私はいぇーいと拳をぶつけた。

『ちょっと一郎も怪しかったけどね。』
「いやいやヨユーだったろ。」
『いーや、ちょっとニヤついてた。』
「まぁ空却が負けたし」
『あーあ、折角私が勝ったのに〜』
「おーおー、男気あんなぁ」

笑って待っていると出てきた空却からビニール袋ごと投げつけられた。ありえないんですけど!

「おい、俺コーラなんだけど!」
「ヒャハ!せーぜー炭酸抜けてねぇように祈ってろ」
「テメェ…」
『やだ一郎、袋潰さないでよ!私のメロンパンがぺしゃんこになるじゃん』
「俺の焼きそばパンは無事だな」
『シバく。』


とてもとてもしょーもないやりとり。それでもこのメンツだから楽しいんだよな。それぞれの飲み物を持ちながら、イケブクロの街に3人で繰り出していった。


*男気ジャンケン*

次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ