hpmi 5 短編*シリーズ

□ノバスシリーズ
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よく一郎、空却、凪の3人でつるんでいるのだが、きっかけこそ他愛ないものだった。多分。

────

「なぁおい一郎…」
「なんだ?」
「あれやばくねぇか?」
「…行くか。」

一郎と空却の視線の先では女子1人が男数人に絡まれていた。

「おいおい、寄って集って何してやがんだァ?」
「男がダセェことしてんじゃねぇよ!」

2人はそれを見過ごせず駆け寄るのだが、絡まれている女子は強烈なパンチを男に繰り出した。

『あ"ぁ?何、あんたたち。』
「このクソアマァ!!」
『うるせぇよ!!』
「「……」」
「何見てやがんだ、テメェらも邪魔すんならぶっ飛ばすぞ!」
「ヒャハハ!出来るもんならやってみやがれ!」
「相手してやるよ!」

一郎と空却を一瞥しながら襲いかかる女子こと凪にポカンと一瞬呆気にとられるが、男どもが向かってきたためそのままめでたく全員で乱闘騒ぎになる。男達に負けず制服のスカートをひらめかせながら凪は相手を伸していく。

『何勝手に入ってきてんの、よっ!』
「おいおい、心配して加勢しに来たのに何なんだよその言い種はよぉ…」
『頼んでないし』
「テメェ…」
「おい空却、お前がつっかかってどうすんだ」
「腹立つモンは腹立つだろーが」

最後の1人を沈めたところで憎まれ口を叩く女子に空却が食って掛かるのを制止する一郎。アンタつえーな、と言うと女子は1人でも余裕だったとこれまた生意気に言ってのける。

「気ぃ強すぎんだろ」
『初対面で失礼すぎない?』
「お互い様な!」
「はは、アンタおもしれーな」
『どーも。何、ついでに私らも勝負でもする?』
「いや、女相手は殴らねぇよ」
『は?女だからって舐めんなよ…まぁさっきの様子見てたらあんたら強そうだし勝てそうにないからいいや。』
「あんだよ、分かってんじゃねーか。テメェ名前は?」
『…新手のナンパ?』
「は!?ちげーよ誰がこんな可愛げねぇ女!」
『さっきから失礼だよね』
「だからテメェに言われたくねぇっつーの!」


それから結局自己紹介して、顔を合わせる度に言葉を交わしていたら現在に至った。ささいなきっかけが、私たちの青春の糧となるのだが、この時の私たちはまだ知らない。



*出会い*


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