hpmi 3 MTC

□マトリとポリス
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※暴力的、嘔吐表現あり




朱里の協力者申請を済ませ、クラブでの情報をもらう。やはり定期的に売買が行われているみたいで再度潜入を試みることになった。今度はスムーズに潜入できるよう、朱里の紹介という名目で潜り込む予定となる。


前回購入したばかりなので少し間を空け朱里に再度購入しに行ってもらう。その時に友人(私)も買いたいそうだから来ると思います、と伝えてもらった。前準備はそれで整い、あとは私が直接売買されているVIPルームに行くのみとなる。そこで証拠を抑え、次回令状を取り現逮のプランが立った。






そして今日が証拠を掴むための潜入日。オフショルとショートパンツ、9センチのヒールをはいて髪を巻く。派手目のアイシャドウとオーバーラインのアイライン、ばさりと長さと太さをマスカラで睫毛をかさ増ししてギャル風に身なりを整えた。


いざ、と目的のクラブにヒールを鳴らして歩いていると声を掛けられる。


「おや、もしかして我妻さんですか?」
『……入間さん…』
「何ですか、その格好…」


声がした方に振り返ると、街頭が輝く夜の街にスラリとスーツを身に纏い今日も整った七三の入間銃兎が立っていた。


「なんだ銃兎、知り合いか…?お前にしちゃ珍しいタイプのオンナだな。」
「ええ、ある意味仕事仲間と言っておきましょうか。」
「へぇ…」
「うむ、始めましてだな。」


目立つ白銀色の髪をもつ男性と長身のミリタリー姿の男性が彼の背中から覗いて物珍しそうに私を見る。彼らはここらヨコハマディビジョンの代表、Mad Trigger Crew、通称MTCのメンバーだ。

そりゃあ入間さんと関わりが無さそうな姿だろうね。それこそ今からクラブでクスリに流されそうなオンナを演じるための格好ですから。というか、潜入前に目立ちたくない…


『仕事です。』
「……なるほど。」
『………』


私の返答に納得して頷いたかと思えば更にまじまじと私を見てくる。ちょっと、見すぎじゃない?そんなに似合わないかな。まぁいつも纏め上げた髪とスーツや綺麗目な服装なのでこういった姿を見せるのは始めてだ。


『あまり見ないでください。』
「すみません、中々化けるものだと思いまして。」
『…では。』


そそくさとその場を離れ、本来の目的地であるクラブに顔つきの身分証明書を提示し、ドリンクチケットを受け取って入場手続きを済ませる。ハンドバッグからコンパクトだが札束でパンパンに膨らんだ財布と携帯を手に持ち、谷間の底の方にリップではなくボイスレコーダーを忍ばせる。カバンは入り口のロッカーにしまいこんで分厚い扉を開けば爆音に包まれた。さて、任務開始だ。きゅっと唇を引き締める。








暗く、サーチライトが目の奥を刺激するフロアを人をかわして進んでいき目的の人物を探しだす。チンピラのような少しこの場から浮いた男を見つけて声をかけた。それからはあれよあれよとVIP席に通される。


『………』


多きな一室に通されて言葉を失った。そこには口角から唾液を垂らしながら空を見つめている者、注射器に薬液を吸って血管に打ち合いしている者達、葉っぱを巻いて煙を揺らしている者が6名ほど転がっている。甘ったるく独特の臭いに眉根が寄りそうになるのをグッとこらえる。多きなソファーの中心にふんぞり返っている男性に目を向けた。彼こそが霜桐組の幹部だ。


「あんた、何が欲しいんだ?」
『……た、大麻を…』
「OK、1が5000だ。」
『どれぐらいあるんですか?私に買えるだけ、欲しいです…』
「ハハハ!いいねぇ、そーとー浸かってやがる。」


多きな口を開けて男は笑った。しかし次の瞬間、ガンッと踵をテーブルの上に叩きつけて私を睨み付ける。


「舐めてんじゃねぇぞ?あんたが全財産つぎ込もうと底尽きねぇンだ。」
『っ…すみません…!』


一般人らしく、怯えた態度を取る。演技、といってもバレないように緊張はするため私の掌は汗で湿っていた。頭の中で証拠を引き出すためのセリフが嵐のように浮かび荒れている。こくり、と小さく唾を飲んだ。


『にじゅ…っ、お願いします…』
「まぁまぁ、脅かしといてなんだけどそんなにビクつくなや。イラつくから。20な。なら10万だ。」
『、はい…』


わざと震わせた手で財布から札を取り出す。途中で財布を落としたりしてカモフラージュも忘れずに。

「ここでやってくか?」
『1人でしたいので、持ち帰り、ます。』
「そーかい。……あんた、他のブツに興味はねぇのか?」
『…他の?』
「グラスホッパーっつう、イイのがあるんだよ。」
『、大麻で、お金が手一杯で…』
「大麻なんて目じゃねぇブツだ。これがキマれば大麻じゃイけなくなるぜ?」


ソファーから立ち上がって私に向かってくる男は下品な笑みを浮かべている。私の目の前で立ち止まり顎を掴まれて至近距離で顔が向かい合う。カチカチと奥歯を鳴らせて肩をきゅっと竦める。


『、次の時に考えます。』


今回はもう買っちゃったので。と拒否の色を見せると、触れていた手が面白くなさそうに離れていった。


「今回はお買い上げ頂いたし仕方ねぇな。大麻より安いからよ、こっちがお得っつーのも教えといてやるよ。まぁ、こっちこいや。」


頭のてっぺんから足先まで舐めるように視線が這う。そして手首を掴まれてソファーに引っ張られる。


『は、やく帰って、使いたいんです。』
「ここで使やぁいいだろが。まぁ一杯だけだ、付き合えよ。」


しばらく吸ってないから、と小さく伝えるもゴリ押しされる。男がVIP付の黒服に目配せをすればしばらくしてドリンクが運ばれてきた。 出されたものをそのまま口にするのは危険である。私が躊躇っていると、それに気づいた男が目の前のグラスを持ち上げた。


『ぅ、ぐっ…』
「てめぇ、人の厚意を断る気か?ああ!?」


口に無理やりグラスをつけられてドスの効いた声で煽られる。口を開かないでいると鼻を押さえつけられた。息が出来ず抵抗するも口のなかにがばがばと液体が入り込んでくる。無理やりのそれに、口許から胸にかけて溢れた酒で濡れていく。グラスが空になり、ようやく解放されて空気を肺に取り込んだ。大麻を燃やされた後の糞みたいな空気でも、酸素があるだけで私にとっては新鮮な空気だった。


「初回は特別サービス。俺のおごりだ。」


その男の言葉に、先ほど幾分か飲まされた酒にクスリが溶かされていたことを察する。ああ、店員もグルか。そうだろうね。びちゃびちゃになった胸元に、レコーダー生きててくれよ。と祈る。


「即効性だから、すぐクるから待ってろ。キまったままヤるの、すっげぇイイからよ。」


あんたもハマるぜ?と下卑た笑みを深める男。はぁ、ちんこ引きちぎって八つ裂きにしてやりたい。そう思って、自分の喉奥に指を突っ込んで取り込んでしまった物を床に吐きだした。


『う、ぇぇ…っ!、ごほっ…!』
「うわ、きたねぇ!チィッ!!!…… 折角一緒に楽しもうとしてたのは優しさだぜ?ブットんでたほうがあんたも訳わかんなくなっていいのによ…まぁ辛いのはあんただ、それでも嫌ならしかたねぇ。俺はイイ感じにキまってきたからよ。」


床にへたり込む私の二の腕を掴んでソファーに引き上げられる。溶かされた薬物は通常より早く体内に取り込まれてしまったみたいで思考がぐわんと捻れ、身体には力が入りにくい。

はあ、早くちんこねじこみてぇ。と息を荒くしながら男は布面積のすくない私の服をどんどん剥がしていく。抵抗はするものの、薬がキまった男の意には介さない。くそ、と奥歯を噛み締めてなけなしの力でヘルプの合図を待機しているチームの2人に送るため携帯の電源を落とした。剥がされて下着が露出した身体に男の手が這い回り嫌悪感で満たされる。

このままやられるのか、と諦めが浮かんだ瞬間、VIPルームの重いドアが突然開かれる。



「ストップ、ストップ、ストップ!」
「な、なんだテメェら…!」
「それはこっちのセリフだ…てめぇら、人のシマで何好き勝手してやがんだ、ア"ァ"!?!?」
「ここは空気が澱んでいるな。小官が風通し良くしてやろう。」
「お前らは…MTC…!?なんでここに…!」


仲間が来るには早いなと思っていれば、登場したのは思いもしなかった人物たちだった。ここに来る前に、少し話した彼ら。MTCの三人だった。突然の来訪に慌て出す男達だが時にすで遅し。入間さんたちは殺気を纏っている。


「時間外ですが、良いでしょう。彼女の代わりに私たちが相手してあげます。」
「たっぷり可愛いがってやんよ!!簡単にイくんじゃねぇぞ!」
「かかってくるがいい。」


彼らがマイクを構えれば、それからは一瞬だった。






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