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□カランコエ(一郎連載@)
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私の魂の解放がされる。
それが今日。今日という日をどれだけ待ちわびたか。




─11,こころ の まいほーむ─




いつか言っていた通り年越しは職場で迎え、年が明けて一週間が過ぎた。
そして本日、夜勤で夜中の2時に終わった。日付が変わって今日と明日、2連休だー!!!叫びたい気持ちに駆られるが、夜中だしグッとこらえる。
早く帰って寝よう。起きれば愛しの弟たちに会いに行く予定だ。出会ってから一ヶ月も会わなかったことは無…うん、あった。あったね。最初の方はあったあった。今では馴染みすぎて忘れてたぐらいに久々にこんなに間が空いた。
シャワーを浴び、弟たちを思い浮かべてフライング癒しをもらいながら夢へと旅立つ。




目が覚めて、昨夜の自分の気持ち悪さを振り返りながら支度をする。だって仕方ないじゃないか、山田家不足なんです。
電車にゆられて到着!平日でじろさぶは学校が始まっているため不在のはず。一郎には連絡を入れていたので誰もいないなんてことはない。楽しみにしてたあげく閉め出しなんてくらったら今度こそ神様恨む自信ある。
インターホンを鳴らすとしばらくして扉が開いた。


「おー、久々。」
『久々〜!お邪魔します!』


招き入れられ、ハンガーを差し出された。コートをかけ、ほっと息をつく。


『この間はお見舞いありがとね。』
「なんもしてねぇけどなぁ」
『いやいや。愛情たっぷり雑炊で回復回復。』
「ばーか。」


あ、照れた。
愛情たっぷりとか言ったからかふい、と顔をそらす一郎。かわいいなこんちきしょー。


『今日の仕事は?』
「急ぎの依頼はねぇんだ。明日はちょっと出るけど。」
『そっか、お昼は食べた?』
「いや、春も来るしなと思って。」
『流石かよ。一郎のごはんたべたい。夜はわたしが作る。みんなに作ったげる。』


はいはい、とキッチンに向かう一郎。優しすぎか。一郎の男料理の肉野菜炒めと米で腹が満たされ、二人でソファーに座りアニメを観賞する。1月から始まる今季アニメの一話が始まっており、それぞれのオススメを話ながら、久々のまったりした雰囲気に指先まで浸かった。








ふ、と意識が浮上するのがわかった。ザワザワと耳に入ってくる音がテレビの音だと認識するのに数秒。瞼の隙間からの光に慣らすように目を開けていくと、視界が傾いていることに気づいた。
え、ちょ、

『ご、ごめん寝てた!』


一郎の肩に寄りかかって、うたた寝してしまったようだ。謝って慌ててかけていた体重を戻す。

なにも言わない一郎。

少し骨ばった手のひらが頬を撫でる。そのまま、すり、と目元を親指で撫でられた。
え、まってまってまって。じわじわと顔が熱くなるのが分かる。じっと左右違う色の瞳に捕らえられ、心臓が耳にあるのではないかと錯覚するほどに鼓動が早まった。

「くま…」
『え?』
「うっすらできてる。」
『ああ、隈?そりゃあ、ここに来れないくらい忙しかったからね…』

眉を下げて少し笑うと、何故か彼は眉をひそめた。

「忙しいなら、家で休んでたほうがいいんじゃねぇか?」

出てきた私の身体を心配する言葉に、今度は眉がさがらない笑みがこぼれる。

『ばっかだなぁ、山田家が私の癒しなのに。むしろ会えてないせいでってところもあるかも』

そう言うと、一郎は呆れながらも笑ってお疲れ様、と頬を撫でていた手で髪をかきまぜる。ぽかぽかする。やっぱりここが好きだ。



急いで夕食の準備にとりかかる。今日はミネストローネとパスタとグラタン。サラダもつけよう。クリスマスにパーティーできなかった悔しさもあり腕を振るおう。そして帰って来た二人にハグをもらおう。(ハグで襲いかかるスタンスともいえる。)
驚いたじろさぶの顔を思い浮かべてまた笑顔がこぼれる。

さっきのドキドキはどこへやら。
私の心は温かさで満たされている。






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