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□カランコエ(一郎連載@)
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明後日から9月とは思えないほど照っている太陽。
波打ち、キラキラと光る水面。
やってきました、今年の夏の〆に!

海だー!!!!



─25,夏の終わり、海、水着─



朝起きて、昨日準備していたカバンをもって迎えにきた車に乗り込む。

『おはよう!』
「おう、おはよう。」
「姐ちゃん、おはよ!」
「春姐、おはようございます。」


うっ…!三兄弟のキラキラ輝く笑顔と彼氏の半袖から伸びる逞しい腕が眩しい。そして弟たち可愛すぎか。

楽しみだぁ、と思わず漏らすと同意の声が返ってくる。



花火大会の後、二郎も宿題をちゃんと終わらせたとのことで夏休み最後に海に行くこととなったのだ。

よろず屋の仕事で海の家の手伝いに行くことがあっても、純粋に遊びに来たのは今シーズン初だそう。


「二人とも、忘れ物はないか?」

最終確認を二人に促しながら、私の荷物をトランクに載せてくれる一郎。力仕事が多かったのか、筋肉がついて筋ばった小麦色の腕にきゅんとしたのは秘密だ。

「うん、大丈夫だよ!兄ちゃん!」
「二郎の大丈夫ほど信用できないものはないね。」
「あ!?ンだと!?今回は昨日からちゃんと準備してたんだよ、いちいち突っかかってくんな!」
「そう言わせてるのはお前の日頃の行いのせいだろ?言われたくないなら普段からちゃんとすることだね」
「うるせーな、パソコンとお友だちのお前と違って行くとこやること一杯あるんだよ!」

『そろそろ止めないと知らないよ〜?』

声をかけるも、二人はどんどんヒートアップしていく。あーあ、そらみろ。2人の頭にげんこつを落とされ喧嘩は終息。垂れ下がった耳と尻尾がみえる。幻覚かな??怒られるの分かっててやめないのなんでなの、ばかなの?かわいいなぁ。


「さて、出発するぞ!」
『れっつごー!!!』


軽快に走り出した車。海につくまでの時間は賑やかだった。
車内でしりとりからはじまり、兄弟でフリースタイル対決。ちなみに審判はド素人の私。一郎は運転しながらのハンデで弟たちに負ける局面もあったりしてあっという間に到着した。


着替えるために2手に分かれる。水着をきるのは2年ぶりかな。新しく新調したのはビキニタイプだが下はショートパンツがついてるものにした。さすがに歳には抗えない。ビキニもそろそろ着おさめか…。一応日焼け対策も含め濡れてもいいパーカーも鞄にいれてる。


すぅー、はぁー。
深呼吸する。何でかって?そりゃあ推しのさらけ出される素肌とご対面だよ?心の準備必要でしょ??鼻血吹き出すわけにもいかないし。仏の心、悟りを開いて臨むべし。発狂しませんように。

あ、だめだ。遠目から三人が揃っているのが見えたが、目が潰される勢いで輝いて見える。今からあそこと合流とかマジ無理ゲーなんですけど。

とりあえず遠目から目を慣れさせるために舐め回すようにみる。


さぶちゃんは黄色地に黒と白のスクエアのポイントが入った海パンとグレーの薄手のパーカー。未成熟のその薄い胸板はそのパーカーによって聖域と化している。(つまり前を閉めている)
じろちゃんは青とネイビーのグラデーションに白に抜かれたヤシの木の柄が入った海パン。頭にはタオルが巻かれている。まだまだ成長期真っ只中の体躯は脂肪が少なく筋肉が浮き出ている。太陽に曝されている成熟しかけたその体はもう国宝級。(つまり何も羽織っていない)
一郎は赤地に太めの白いラインが片方の裾に入ってブランド名が刻まれた海パンと、白いパーカー。その白さがレフ板となって作用しているのか程よく筋肉がついた腹筋のコントラストを強めて輝かせておりもはや世界遺産。(つまり前をあけている)


一体どういう事なんですか。
3人兄弟だけで聖域、国宝、世界遺産。
私 最強のパワースポットと同行してんのか。



その舐め回すような視線はバレていたようで、なんとか薄目で見慣れた頃に近付くと三郎の冷たい視線が投げつけられた。

「遠くからジロジロ見られてウザいんですけど。」
『いやあ、鼻血吹き出さないよう徐々に慣れていかないと…あ、その変態みるような冷たい目やめて』

あははと笑って誤魔化せば、今度は三郎が自分の体を抱き締め、下から覗き込むように

「……えっち。」
『!!!?!?!!!っ……?!っ!?!!?』


激☆沈☆

鼻を押さえて下を向いた私の頭頂部には再び冷たい視線がささったのだった。

「三郎、春をイジってねぇでそろそろ行こうか。」
「そうですね、一兄!」
「あちー!はやく海に飛び込みてぇ〜!」
『準備運動しっかりね!』
「姐ちゃんみたいに日頃から運動してない訳じゃないから大丈夫だよ!」
『え、悪気なくディスられた?』
「え!?そんなことないよ!」

わいわいと砂浜に向かっていく中。
先頭に立つ二男と三男。追って私と一郎。


「春、似合ってる。」
『ぇ!あ、うん、ありがと…!』

突然上から声をかけられて、しかも褒められた…顔が、顔が熱い!

「……他に見せたくねぇから、これ着てほしいんですが。」
『っ……!!!』

自分が着ていたパーカーを脱いで肩にかけられる。一郎の方を向けば、頬を染めて視線はそらされた。突然の敬語でのお願いに照れが見えて私はノックアウト。そうやって私をキュン死させるんですね、罪。ギルティ。




さぁ、こんな愛しい兄弟たちとのビーチ。
私の命はもつのでしょうか……。




自分がパーカー持っていることは、今日は秘密にしておこう。












12/6up,12/7修正

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