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□カランコエ(一郎連載@)
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輝く太陽!煌めく波間!照らされる肌!
私、鼻血吹く準備いつでもできてます!
やっと目が慣れてきた、はず。
─26,海水滴る、太陽、体温─
砂浜に荷物を広げ終わると何だかんだで昼前のいい時間となった。海に入る前に軽く昼ごはんにする。今回来た海は海の家があるため、BBQはまたの機会だ。
4人で砂に足をとられることにすらはしゃぎながら海の家に向かい、やきそばとイカ焼き、焼きとうもろこしと、定番で腹を満たした。さすがイケブクロメンバー。視線を集めまくって私は居たたまれなくなったのは言うまでもない。縮こまってた私をわざとらしくなく会話に引っ張り込んでくれる三人。ありがとう。でも女子の目線が痛いや。
しょっぱいものの後には甘いもの。そして日がてっぺんに近付きつつあり気温がぐっと上がった海で欠かせないものとは!そう!!かき氷!
かき氷を選んでレジャーシートを広げた場所に戻ることとなった。
「俺はいちごにするわ。」
「んー、俺はブルーハワイ…ああああメロンにしようかな…」
「はやく決めろよ。僕はレモンにします!」
『私も迷うなぁ…よし、いちごの練乳に決ーめた!』
「おい二郎まだ決まんないのかよ」
「うっせーな、急かすなよ」
「よおタレ目の兄ちゃん、半分半分でかけてやろーか?」
「マジか、おっちゃん!最高!頼むわ!!」
店員のおっちゃんの一声にキラキラ目を輝かすじろちゃん。かわいい。しっぽをブン回して振ってる幻覚が見える。末期か。
「二郎のくせに、優柔不断すぎて迷惑かけてんじゃねぇよ。」
「ああん!?」
「てめーらうっせぇぞ。おっちゃん、すんません。」
「おー、君らのお陰で女性客増えた感じがすっから、特別サービスな!」
「そっすか?あざっす」
ああ、おじさんにニカッと白い歯を見せて弟のためにお礼をいう一郎。すきだなぁ。その笑いかた。
みんなそれぞれかき氷を受け取り食べながらパラソルに戻る。
前に二人が先にかき氷早食い対決するかとワーワー騒いでいる。三郎がそんなガキみたいなことしないといなしたが、二郎が勝つ自信ねぇのかと煽り、結局勝負して二人してプラスチックスプーンを持った手で頭を押さえて空をあおいでいる。頭キーンなってるんだね。かわいい。かわいいがすぎる。かわいいのメーター振りきってる。
『ほんと、なんだかんだ仲良いね。』
「兄弟仲がいいってのはいいモンだな。」
かき氷を一口、口に運ぼうとした時に重心をかけた足が砂に埋もれバランスを崩した。
あ、と思った時には練乳混じりの氷が胸元に落ちる。
『う、わぁっ。ひっ!冷たっ!』
体温で少し溶けた氷が谷間に向かってつたい始める。ああ、ベタつく…とスプーンをかき氷に刺して片手をあけようとすると、肩に逞しい腕が回された。
「目に毒すぎんだろ。」
オッドアイが私の目線と同じ高さに見えたと思えば更に下がり、ぺろり。
『は!?え!!ちょっ…!!!?』
外で何やってんの!!?顔にみるみる熱が集まり、爆発しそう。胸元を舐められ、反射でばっと離れて袖で残った氷を払った。
ゆでダコになった私をみて、にやりとにひるに笑う一郎。ぺろりと今度は自身の唇を舐めて見せる。
「ごちそーさん。」
そんな子に育てた覚えありません!!((涙目
ああああああもうカッコいいわ恥ずかしいわでもう死んでまう!わて死んでまうわー!!!
「姐ちゃん、見てみてー!!!」
二郎が振り返り、私の心にほんの余裕が戻ってきた。み、見られてなくて良かった…。
じろちゃん、なんだい、言ってみな。
「青くなった〜」
ブルーハワイに染まった舌をべっと見せてきてへへへと笑う二郎。なに、この人たち私を今日海の藻屑にしに来たの?ぎゃわいいいい…鼻血でてないの奇跡に近い。
『さぶちゃん!!!』
「僕はしないよ。」
『さ、さぶちゃん…!』
「黄色はわかんないってば…」
『さ〜ぶ〜ちゃ〜……「しつこい。」はい、ごめんなさい調子乗りましたすいませんそんな目で見られるといたたたたた。』
さぶちゃんの塩対応、ちょっと海もしょっぱいから塩分控えめにお願いしたい!!って心のままに伝えたら塩分増やされました。つら。でもかわいいから許す。
それから浅瀬でビーチボールを4人でしりとりしながらやって、罰ゲームで海に放り投げられ放り投げ。みんなそれぞれ一回は投げられてびっしょり濡れてる。一旦休憩、と弟たちは飲み物を買いに行き、私と一郎は浮き輪を持って沖に向かった。
浮き輪に入った私と外から浮き輪に腕をかける一郎。二人でぷかぷかと波に揺られて過ごす。
きもちーなぁー。
すると突然ざぶんと潜った一郎が、輪の中に侵入してくる。
『い、一郎…』
ゼロ距離。海水の冷たさと、ふれあう皮膚の体温の何とも言えない温度に照れ臭くなる。
「なんかこれ、二人っきりみてぇだな。」
浮き輪で周りの視界は遮断され、ビニールに反射して声が籠っている。改めて言われるとどんどん羞恥心が増した。
『ん、』
腰に手を回され、口付ける。しっかりと筋肉のついた体。皮膚と皮膚との直接的な密着にどんどん体温が上がっていくのがわかる。
「水着、かわいい。てかエロい。」
今度から露出すくなめで、と釘をさされ、また口付けが深くなった。私は溺れないように息継ぎするのに精一杯になる。
「あー、やばい。」
そう最後に軽く口付けて浮き輪から脱出する一郎さん。やばいのはこっちです。
『えっち。』
「それ反則。」
『一郎が先に反則したんだから。
てゆーか、一郎も女子の目線集めすぎなんだから…』
そんな終着点のない言い合いをしながらそのまま浮き輪の紐をひっぱって浅瀬に連れてってくれた。
先程上がった体温のせいか、私の喉はカラカラに乾いていて二郎が大切に飲んでいたラムネを一気にあおって恨めしげに見られました。ごめんって。わるいの君のにーちゃん。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰りの時間が迫る。レジャーシートの砂を払い、片付けてシャワーを浴び帰る準備に勤しむ。
帰りは大きめのSAでごはんを済ませ、満腹と揺れる車体によって弟の二人は後部座席で頭を寄せて寝てしまっていた。
家までもう少し。高速を降りて信号待ち。
「春、」
名前を呼ばれて運転席をみると、唇を掠め取られる。うう、今日はキス魔だな一郎くん。うらめしくみていると、一郎はふっと笑って前を向いた。変わった信号にアクセルが踏み込まれる。
「またいこうな。」
『……今度はBBQね。』
「おー、いいねぇ。」
三郎が、一瞬目醒めたが気を使って寝たふりしてくれてたのも知らずに──・・・