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□カランコエ(一郎連載@)
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〈じゃあ二郎と三郎頼んだぜ〉
《了解!気をつけてね。》


一郎からのメッセージに返信し、今日の晩御飯のメニューを考える。一郎は仕事で遠方の依頼が入り、泊まり込みで家を空ける。その間の弟たちの飯炊きばばあに立候補したのだった。





─33,ニンニク味の愛を包んで─





日勤の仕事が終わり、イケブクロに向かう。山田家に向かう途中のスーパーで夕飯の買い物に寄る。
今日の晩から明日の昼までを任された。昼過ぎには帰ってくる予定だそう。
カートを押しながら献立を考える。うーん、、、ギョーザ。ギョーザにしよう。ニンニクたっぷりでも許される。だって明日は休みだもん。


ひき肉とニラとニンニク、ショウガ、キャベツ。あとは餃子の皮。ぽんぽんとカートに入れていく。あとは卵とワカメのスープにしよう。ビニール袋を引っ提げてルンルンで向かう先には天使たちがいる。そう思えば仕事の疲れもなんのそのだ。
一緒に餃子包むの楽しみだなぁ〜。



『おじゃましま〜』
「おかえり、姐ちゃん!荷物もつよ!」
『、じろちゃんただいまぁ。』



出迎えてくれたのは二郎。買い物袋をひょいっとさらっていくわんこにきゅんきゅんする。背伸びをして頭を撫でる。ああ、現在進行形で癒されてる。HP回復してる。オートケアルかかってる。にこにこ笑って撫でていると奥から声が。



「ちょっと、さっさと上がってきなよ。二郎もトロトロしてないで春姐ひっぱってこい!」
「ああ!?別にトロトロしてねぇだろうが!」
『はいはい、私がじろーに癒しタイムせがんでたのよ〜ごめんね。さて、ご飯作ろー!』



ケンカが始まりそうなので適当にいなして二郎が運んでくれたビニールから具材を取り出す。晩飯なに?と無邪気に聞いてくる二郎に母性を覚える。



『え、なに、じろたん私の息子になる?』
「なんでそうなったの!?」
『いやちょっと私の母性目覚めた。』
「春姐の思考は前からだけど意味分かんない。」
『さぶちゃん、ひどい…そのまま純粋でいてねじろちゃん。』
「ちゃんづけやめてよ、姐ちゃん…」
『今日はね〜、餃子!!!』



話をブった切って献立の話に戻すと おおー!と二人から声が漏れる。食べ盛りな男子たち。餃子の匂いどころかその響きだけで食欲がそそるだろ〜!ちなみに私はビールもちゃっかり買ってきちゃったよ!!


「僕はなにをすればいいですか?」
『じゃあ三郎は調味料計って〜、二郎は私と食材切ろうか。』
「おっけー、姐ちゃん!」
『あ、あと三郎はお鍋にスープのお湯沸かして〜』
「うん、分かった」


途中、調味料のニンニクを刻むのを後回しにしてしまった二郎に三郎がつっかかったり、餃子の皮にタネを包むキレイさで勝負したりと騒ぎながらもどんどん餃子が錬成されていく。多めにタネを用意したから冷凍して一郎に置いておこう。


『ねぇ、キムチ入れるのとか、大葉いれたり、チーズいれたりしない?』
「それ旨そう!」
『じゃあ好きな具材入れよう〜』


色々買ってきたよと具材を並べて各々好みの餃子を作る。あ、ひらめいた。


『ロシアンしようよ!』
「ええ〜」
「何入れる気…?」
『うーん、ここはあえていちごジャム』



うげぇー!と素直に顔に出す二人に笑った。まぁ冗談だ。食べ物で遊ばずに美味しくいただこう。そう言えばあからさまに安堵の息を漏らす二人。



ホットプレートで焼いて、囲んで食べる。うーん、我ながら美味しい!
仕事終えてビールと餃子とか優勝。しかも弟たちと一緒に。



『大葉入りおいしい〜!』
「いや、チーズ最強!」
「この皮破れてるの二郎のだろ!」
「あ、おい俺の皿を山盛りにすんな!」
「ちゃんと自分で処理してよね」
「ああ!?兄貴が作ってやったんだからありがたく食え!」
「僕が包んだやつは一兄のに回したから僕は春姐のを食べる」
「はぁ!?何でお前だけのなんだよ、俺のも入れろよ!」
「こんな崩れた形の一兄に置いとくわけないだろ!」
『こーらケンカしないの。一郎のはみんなの均等に残してるから。三郎も、最初は下手くそだったくせに言わないのー。』
「っ…ふんっまあ味は一緒だし食べてやるよ」
「いーや、もうお前には食わせねぇー!」
『じろちゃーん、さぶちゃーん。私が全部食べちゃうぞ〜?』


天使同士が言い合っても可愛いから見てられる。でも折角だし仲良く食べようね。二人の餃子のタレを取り上げる。
ごめんなさいと素直に謝ったので返せば再び餃子を食べていく。みんなで作ったし美味しいねと言えば頷く三郎と笑顔で同意する二郎。はぁ可愛い。可愛すぎる。なに、ここ天国?このために今日は働いたんだなぁ。ぷはー!とビールを仰げばばばくさい、とさぶちゃんに罵られた。愛情の鋭さがひどいと二郎に泣きついた。


『あ、そうだ。』


明日は土曜日。ふたりも休みだ。


『せっかくの週末だし、三人で出掛けようよ。』
「「行きたい!」」


声が被ってムムムと睨み合う次男と三男。君たち、いちいち可愛いな。これから行き先で揉めるんだろうなぁと思いながらまたビールに口をつける。さて、明日の楽しい予定を考えましょう。にしても餃子うまい。



『どこいきたい?』

「ボドゲカフェ行ってみたいんです!」

キラキラ目を輝かせる三郎。可愛すぎるだろマイスウィートエンジェル。

「俺、姐ちゃんと見たい映画あったわんだよね!」

え、私と?可愛いすぎるだろマイスウィートフェアリー。

『遊園地は?』
「ええ〜…まぁいいけどよ…」
「遊園地ではしゃぐ年でもないし」
『え!?はしゃぐでしょ!絶叫系大好き!!!』
「ネズミーランドなら久々に行きてーなぁ」
『え、ちょっとそれなら色々準備が…』
「何の準備ですか」
『いや付け耳とか必須でしょ!?ポップコーンバケットもだし…なのでダメ!一郎居るときにみんなで予定して行こう!』
「そうだね!」
「二郎と一緒より一兄と行った方が有意義だしね」
「なんだと、テメェ!」
『一々ケンカしなーい!』


結局なんやかんや騒いで、餃子食べ終わったらみんなでボドゲして、明日はスポッチに行くことが決まった。スポッチ…私の体力持つかしら…。




報告がてら、餃子の写真と三人で映った自撮りを一郎に送ればズルいという旨の返事が来て笑ってしまった。








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